その動きに党内からは、こんな声が出始めている。
「ここ半年、安倍さんは何かあると小泉に難問を突き付ける。その都度、上手くやってはいるが、手柄は『俺様、安倍人気のおかげ』と総取り状態。いずれ失敗すれば『小泉の力量不足』のせいにするのはミエミエだ」
これでは将来の総裁候補・小泉が潰されるというわけだが、一方で進次郎氏周辺からは、こんな無気味な声も聞こえてくるのだ。
「いつまでも難問を押し付けていろ。進次郎は、いい意味での明智光秀だ。最後は父、純一郎氏とタッグで安倍の寝首を掻く。そして進次郎の場合は、その後も生き伸びる」
双方の思惑がここまで火花を散らす背景には冒頭に触れた、「2020年以降の経済財政構想小委員会」事務局局長への、進次郎氏就任がある。
厚労省担当記者が、こう解説する。
「団塊世代が後期高齢者に突入する2025年。年金や医療、介護費などの社会保障費は約150兆円まで膨らみ、日本財政はパンク寸前になります。これをどう配分しカットするかが、日本財政の喫緊の最重要テーマ。しかし、そこにメスを入れれば高齢者の反感を買い倒閣の危機さえ出てくる。その難題をどう詰めるかを話し合うのが小委員会。最重要ポストが事務局長となりますが、当然、厚労族議員の発言権が大きい分野だけに、進次郎氏の手綱さばきが試される」
進次郎氏を迎え撃つ厚労族長老がこう明かす。
「実は安倍首相が進次郎氏を起用した背景にはもう一つある。安倍首相は去年の秋、消費税の軽減税率導入に向けた公明党との協議で、財務省寄りで安倍首相に従わない野田毅税制調査会長を秘書の覚せい剤使用にかこつけて一気に更迭し、聖域だった党税調の事実上の解体に動いた。そのため、社会保障制度に関する特命委員会の委員長の職にあって安倍首相に恨みつらみのある野田氏は、安倍政権の聖域切り崩しに断固反対の姿勢で、我々厚労族とともにスクラムを組んでいる。安倍首相が進次郎氏を使っても、我々はそう簡単にはいかない。進次郎氏は潰されるまでです」