「特別職国家公務員の防大生は学費(4年間で約250万円相当)が免除される上、月約11万円の学生手当と年約34万円のボーナスが出ます。もちろん原資は税金で、任官を拒んでも返還義務がないことから任官拒否にはさまざまな制約が設けられている。とはいえ最近は“滑り止め”に受験するケースも多く、相対的に志が低くなっていることも事実です」(防大OB)
実は応募者が減少しているのは幹部候補生だけではない。18歳以上27歳未満を対象にした実動部隊の隊員となる非任期制の「一般曹候補生」も、'14年度の応募者3万1145人に対し、'15年度は2万5092人と約6000人も減っている。自衛官候補生は基本的には2年、4年、6年で退職となるが、一般曹候補生は定年まで勤め上げることが前提。このことをもって一部リベラル派が安保法制の成立や徴兵制への布石と関連付け、格好の“ネガキャン”を行う動きも見せた。
「応募者数は減りましたが依然として採用の倍率は平均で約7倍と狭き門。応募者減は急に始まったわけではなく、'11年をピークに下り坂なのです。少子化の進行も影響しているし、そもそも自衛官応募は景気の動向に大きく左右される。'08年のリーマン・ショックの翌年は、就職難から一般幹部候補生の応募者数は前年度比35.6%プラスの6573人という大幅増になりました。その後、経済が回復基調になると有効求人倍率も右肩上がりで、昨年4月は1.17倍と23年ぶりの高水準になった。このような社会情勢からも、応募者減の原因が安保法制にあると決め付けるのは早計です」(軍事ジャーナリスト)
徴兵制のない先進国はどこも兵士の不足に悩んでおり、米軍は“サイボーグ・ソルジャー”の開発に取り組み始めたという。