別の防衛省関係者がこう話す。
「張成沢氏の処刑で中国の後ろ盾を失って以来、北朝鮮はロシアに擦り寄ってきたが、ここにきて両国の経済事情が共に死活問題にまで高まりだしたために、共に手を取り、日米を攻撃する可能性が高まりだしているのです。同時に“ミサイル外交”を仕掛けるか、波状的に別々の動きを見せるかはいまのところわからないが、米国防総省や日本政府もこの不気味な蠢動を警戒しているのです」
日本政府や米国がこうしたロシアと北朝鮮の共闘論を危惧しだしたのには、理由があるという。前述通り、近年両国は水面下で急接近していたが、ここにきて軍事的にも強固な結びつきを見せているからなのだ。
「その一つが、昨年北朝鮮が国内に建設した羅津港3号埠頭の使用権をロシアに与えたことなのです。同埠頭には、石炭や生活物資が大量にロシアから運び込まれているが、有事の際にはロシアの軍用艦が集結できる密約が結ばれたともいわれているのです」(自衛隊関係者)
また、北朝鮮には以前にも増してロシア製の武器が持ち込まれているという。
「北は今年に入り、米韓の合同軍事演習を牽制するために、射程距離200キロの最新鋭対艦ミサイルSA5の発射を繰り返しているが、実はこのミサイルはロシア製のKh35Eと指摘されている。そのため、今後はプーチン大統領が宣言した新型大陸間弾道ミサイルが、北朝鮮の最新鋭ミサイルとのフレコミで同国に配備される可能性も高く、ある日足並みを揃えてミサイル発射に踏み切ることも絵空事ではないのです」(同)
ただし、気になるのは仮にロシアと北朝鮮が“ミサイル外交”に及んだ場合、どんな悪夢が具体化するのかということだろう。
軍事アナリストが言う。
「最悪のシナリオは、米国本土やグアムに核弾頭付きの大陸間弾道ミサイルが撃ち込まれることだが、その前段には東アジアの米軍防衛ラインを崩すため、三沢や横須賀、沖縄などの在日米軍基地、さらに韓国の在韓米軍基地が攻撃される可能性が高い。無論、その前に米国は偵察衛星で、両国のミサイル発射の動きをキャッチするだろうが、この時点で欧州諸国を巻き込んだ第三次世界大戦が勃発しかねないのです」
安保法制関連法案の成立を目指し、ノー天気にプーチン大統領との会談を模索する安倍首相は、果たしてこの事態をどう見ているのだろうか。