モンゴル相撲における最高位の選手であり、1968年のメキシコシティーオリンピックでは、モンゴル人史上初のメダリスト(男子レスリングフリースタイル・銀メダル)にも輝くなど同国の国民的英雄であったムンフバト氏。自らに多大な影響を与えてくれたその父の死に、白鵬が壮絶な悲しさや寂しさに襲われたことは想像に難くない。
しかし、歴代1位の記録である通算40回の優勝を誇る大横綱は、その強靭な精神力で再び前を向こうとしている。今年は初場所・3月場所で連続休場を余儀なくされるなど不振が続いているが、来たる5月場所では天国の父のため、土俵上で奮起する姿を見せてくれそうだ。
ところで、白鵬にとって“5月場所”というのは、非常に縁深く好相性の場所であるということはご存知だろうか。2001年3月場所で初土俵を踏んだ白鵬が、初めて序の口力士として番付に名前を載せたのがその年の5月場所。その後2004年の新入幕、2006年の初優勝、2007年の横綱昇進決定と、力士人生において節目となる出来事の多くが5月場所で起こっている。
また、上記の新入幕から先の3月場所までの84場所において白鵬は幕内に在位し続けているが、この間で最も多く白星を挙げているのは5月場所(183勝)。また、全6場所の内、唯一幕内での休場や負け越しを経験していないのもこの5月場所である。これまで年間を通して安定感のある成績を残している白鵬だが、こと5月場所はその安定感により一層拍車がかかっている。
来月13日に初日を迎える5月場所で、天国の父に捧げる復活優勝を果たす。前述したデータを考えると、次場所がこのような結末を迎える可能性は大いにあるだろう。最近何かと喧騒が続く大相撲だが、来たる場所では今一度“平成の大横綱”の取組に注目してみてはどうだろうか。