CLOSE
トップ > 社会 > 大阪都構想の裏でひっそり議論されていた東京都「千代田“市”構想」

大阪都構想の裏でひっそり議論されていた東京都「千代田“市”構想」

 『大阪都構想』は住民投票の結果否決されたが、実は東京都では、これとは逆ともいえる構想がくすぶり続けている。平成30年に千代田区が千代田市になるという『千代田市構想』だ。
 「都から離脱しようという動きは港区や88万人の人口を有する世田谷区の『政令指定都市構想』、大田区も『大田市構想』を区議会で決議したことがある。これら自治体に共通するのは、課税権がある“市”なら莫大な税収が見込めるという点です。ここに着目したのが、日本で初めて路上喫煙に対して過料を適用する条例を制定した石川雅巳千代田区長。元は都の幹部職員でしたから、見方によっては反旗を翻したと言えなくもない」(都庁担当記者)

 同区企画部はこう言う。
 「千代田区は大企業が多く固定資産税率も高い。ところが都政は『23区の均衡・一体性』の名の下に、都区財政調整制度によって税収を分配してしまうのです。人口5万人強の当区のリターンは3%くらい。しかし、昼の利用者は約90万人もいます。昼間人口分の行政サービスの税金が振り分けられてないのは不公平だと思います」

 こうした意見に異論を唱えるのは、財調交付金が歳入の4割近くを占める荒川区などだ。
 「特別区は固定資産税などの税源が偏在しており、各区の努力の枠を超えている。千代田区は税収が豊かだから一人占めしようというわけですが、この構想はうさんくさい。住民運動の結果ならばともかく、実態は千代田区役所の組織防衛にすぎないのでは」(荒川区周辺を地盤とする某都議)

 この構想が立ち上がった15年前は区報などで大々的にPRされていたが、その後、特に目立った動きは見られない。ある千代田区民はこう言う。
 「神奈川県湯河原町に区の保養所があります。他区では財政難から手放しているのに、あるだけでも恵まれている。しかも区民が少ないので無抽選で利用できます。区で集めたお金だから区民5万人で使っていいなんて思わない。他区に申し訳ないです」

 至極まっとうな意見だ。

社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ