「投手・大谷は右ヒジに爆弾を抱えているので、新しい監督は二刀流の割合を考え直すでしょう。打者・大谷の出場機会を増やし、投手・大谷は連戦などで先発投手の頭数が足らなくなったときだけにするとか」(米国人ライター)
ソーシア監督の退任は決定事項のようにも聞こえるが…。
ソーシア監督は2000年から指揮を執っていた。就任19年目、これだけの長期政権は異例だ。メジャー30球団の現役指揮官のなかでは最長で、02年に球団初のワールドシリーズ制覇に導き、02、09年の2度、最優秀監督賞にも選ばれている。しかし、名将として讃えられる一方で、「気難しい一面」も秘めていた。
15年オフ、当時のゼネラルマネージャー (以下=GM)を“解任”させてしまったのだ。それまでもデータの活用方法や補強リストを巡って意見衝突することも多かった。しかし、「監督がGMを解任に追い込む」とは前代未聞であり、それだけ強い権限を持っていたということだろう。
「米国の野球ファンがソーシア監督の退任説を『本当だ』と捉えた理由ですが、まず、MLB公式サイトのニュースを担当している記者が記名で伝えたこと、第一報を伝えたのが地元のスポーツネットニュースで、こちらはかなり詳細に伝えてありました。やはり記名原稿で。そして、今年が契約の最終年だったので、ア・リーグ西地区で最下位争いをしている状況なので、契約延長は考えにくい」(前出・同)
第一報によれば、ソーシア監督自らが退任を申し出て、GMは引き止めなかったとあった。10年5000万ドル(約56億円)、現役監督のなかでは破格な年俸である。高額年俸を支払って結果がともなわないのであれば、名将も自ら身を引くというわけだ。もっとも、ソーシア監督は球場入りした記者団の前では否定していたが…。
「ソーシア監督と意見衝突して解任されたジェリー・ディポートGMですが、現在はマリナーズでGMを務めています」(特派記者)
ディポートGMはイチローの古巣帰還にひと役買っている。オープン戦終盤、外野手の故障者が続出し、他球団との緊急トレードが進言されたが、同GMは「フランチャイズスターに敬意を評するべき」とし、イチローに帰還オファーを送った。また、エンゼルスの後任GMとなったのがビリー・エプラー氏である。エプラーGMはニューヨークヤンキースなどでチーム編成を学び、松井秀喜、井川慶両氏がアメリカで野球をする苦労も見てきた。それが大谷との交渉に活かされ、今日に至っている。
シーズン序盤、イチローと大谷がグラウンドでツーショットになったところが日本でも報じられたが、ディポートGMがエンゼルスをクビにならなければ、イチローのマリナーズ帰還、大谷のエンゼルス入りは実現しなかったとも考えられる。
そういう“運命”を考えると、ソーシア監督の後任は大谷のメジャー人生に大きな影響を与えそうだ。(スポーツライター・飯山満)