ある男が、筆者にそう言ってかばんから一冊のファイルを取り出した。女性の写真は、スナップ写真から、画像をプリントアウトしたものまでさまざま。一枚だけの女性もいれば、痴態があらわになった大量の写真がセットになっている女性もいる。取材場所は大きな公園のベンチだったが、思わず周囲を見回した。
女性ひとりひとり、住所氏名年齢、勤務先、趣味や出没場所から、好きなセックスのプレイまであらゆる詳細データが揃ったプロフィール表がついている。
「すごいですね。これは出会い系のサクラ画像に使うのでしょう?」
「いや、違うんですよ。これを大阪方面のある社会的地位のある方に売っています。彼の趣味なのですよ。定期的に秘書の方と取引させていただいているのですが、元カノの写真はそれを使って本人に接触しています」
「本人が?」
「はい、つまりストーカーをしているのですよ。秘書が僕のネタの真偽を確認した時点で、写真一枚につき仕入れ値の1万円の倍の2万円で買ってくれます。ある人が気に入ったらそれ以上です」
社会的地位のある人とは誰だろう。
「某市長の秘書さんと取引をしています。これ以上はいえません。気に入った女の写真を見ながら本人の近くに行って観察しているのだと思います。それ以上のことはしていないと思いますが」
確かにいくらいい女がいても、普通はだいたい一期一会である。「市長」は、写真を買ってあちこちに出没して、気にいった女性の裸でも想像して興奮するのだろうか??
この男は、週刊S誌で金融役者や偽造免許の件で取材を受けたことのある男なので、話にそれなりの信憑性はある。本当なら、大問題だ。
ちなみに、
「元カノとのH写真を売る男は多いですよ。いくらでも集まるので、ちょっとした小遣いになってます」(了)