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【ドラマティックレビュー:安田記念】別路線にチャレンジしたL.カナロアとC.ブラックヒルの明暗

 春のGIの最難関、安田記念。過去10年を振り返っても1番人気が勝利したのは4年前のウォッカのみ。上位人気が馬券に絡んでも、人気薄も絡むとあって荒れるレースでおなじみだが、近年から続く絶対的マイル王不在、ショウナンマイティやダークシャドウといった古馬王道路線組、短距離王ロードカナロアの参戦が難解さに拍車をかけた。

 レースはシルポートが速い流れを作り、直線を向いたところで先行勢が失速。ここで台頭してきたのが中団で脚を溜めていたロードカナロア。最後はショウナンマイティとダノンシャークの猛追をしのぎスプリントとマイルの2階級制覇を達成した。

 別路線からのチャレンジで栄光を手にした馬がいる一方で、別路線へのチャレンジが仇となってしまったかもしれないのがカレンブラックヒル。昨年はデビューから4連勝でNHKマイルCを制覇。混沌としたマイル路線に絶対的王者が誕生するかと思ったが、毎日王冠勝利した後は天皇賞、今年の始動戦ではダートGIフェブラリーSにも参戦し4月のマイラーズCまで芝マイルの参戦はなし。秋山騎手はレース後に「今年に入ってからグンと行くところがない」とコメント。以前、グランプリボスがフェブラリーS参戦後スランプに陥った例を書いたが、やはりカレンブラックヒルにも何かしら影響があるのではないだろうか(今回は先行勢に向かない流れだったが)。しかし、今回のロードカナロアのように、チャレンジがあったからこそ生まれるドラマもある。ロードカナロアの更なる飛躍とカレンブラックヒルの復活劇を秋の楽しみにしたい。

〈プロフィール〉近藤雄亮:キャリア3年目の若手放送作家。売れっ子作家ではないため安定した生活をするには競馬の成績がカギ。昨年度のおこづかい馬券の成績は回収率137%、プラス収支をキープ。Twitterのアカウントは「@minoru1202」。

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