弁護士によると、女性は裁判員裁判対象事件の被告。弁護側が12年12月に精神鑑定を請求し、京都地裁が鑑定医を選任した。女性は昨年4月から6月にかけ男性医師と9回面接し、3回目の面接の後に、男性医師が所属する大阪市内の病院で身体検査を実施した。
男性医師は女性に服はおろか下着まで脱ぐよう指示し、全裸になった体を前後から数十秒間観察したという。この際、拘置所の女性職員2人が立ち会ったが、女性の医療関係者はいなかった。
全裸検査をしたとの記載は男性医師が作成した精神鑑定書にはなかったが、同年6月、女性が弁護士に申告し、地裁に報告した。
弁護士は「一般的に身体検査で全裸にする必要はない。人権無視の行為だ」と激怒。男性医師は「生傷などの確認のために必要だった。女性も同意した」と反論しているが、具体的な検査内容は明らかにしていない。
刑事訴訟法では、鑑定人による身体検査は裁判所の許可が必要と規定しているが、本人の承諾があれば、その許可は必要ないとしている。
一般的に精神鑑定で身体検査をどのように実施するかは、医師の裁量に任されているという。全裸にまでなる必要があったかどうかについては、賛否両論あるようだが、そこまでするのであれば、同性の医師が行うべきとの意見もあろう。
ただ、男性医師は「同意があった」としているが、立場上、被告が拒否しづらい環境にあるのは確かだ。
(蔵元英二)