2007年の植木等に続きクレージーキャッツの物故者は5人目。残ったメンバーは犬塚弘と桜井センリの2人だけとなってしまった。
さて、谷啓といえばハナ肇、植木等に次ぐクレージーの「第3の主役」であったわけだが、それと同時にクレージーにおける「若い世代へのかけ橋」的存在だった気がする。たとえ、クレージーキャッツの存在は知らなくても谷啓は『笑う犬の冒険』のオープニングMCやNHKの『ざわざわ森のがんこちゃん』のOPテーマを歌っていた人として若い世代にも馴染みの深いタレントであった(ちなみに『がんこちゃん』は植木等の息子が校長役を演じている等、クレージーにはとても縁が深い番組でもあ
る)。
谷啓が常に最前線で笑いを与えてくれていたからこそ、クレージーキャッツは古びたイメージが少なく今を生き続けるバンドとして維持できていたのかもしれない。
さて、ここで筆者オススメの谷啓さんを振り返るアイテムをご紹介したいと思う。若い人達にも楽しめるようなものばかりなので、参考にしていただけたら幸いである。
★映画★
谷啓は『釣りバカ日誌』の上司役等、脇役のイメージが強いが、かつては主演作が多く撮られる役者でもあった。中でも映画『空想天国』は谷啓の魅力が存分に味わえる一本。マザコンサラリーマン谷啓の生み出した怪獣ガマラとのやり取りがやたらに可愛い作品だ。DVDもレンタルされているので癒されたい人にオススメ。怪獣ファンや女性ファンにも楽しめるはずだ。
★音楽★
植木等がやや大人味のウィットな笑いならば、谷啓はどこかとぼけた明るい曲が多いのが特徴。『虹を渡って来た男』はほのぼのとした名曲。散歩をするときに聴くと10倍は楽しめるはず。『僕はしゃべれるんだ』はそのまんま「喋れる」という事の素晴らしさをえんえんと語った曲で、シンプルながらも深みのある歌詞がいい。
アニメ主題歌の『おらぁグズラだど』は谷啓の頭に抜けるような高音が楽しめる曲。特筆すべきは「怪奇ラップ現象」大のホラー映画マニアでもある谷啓がひたすら恐怖にまつわるキーワードをラップ調にして歌いあげたもの…ちなみに「ラップ現象」のシャレである事は言うまでもない。
これらの曲は全てクレージー結成50周年CD『クレージーキャッツ コンプリートシングルス』の『HONDARA盤』及び『HARAHORO盤』に収録されている。
★書籍★
谷啓単独というわけではないが、クレージー自体を知るには『日本の喜劇人』(小林信彦著)という本がオススメ。クレージーキャッツがどのようにして生まれ、どのように時代を駆け抜けたかが一目でわかる。
名コメディアンであり名歌手であり、名エンタティナーであった谷啓さん。あなたが元気で活躍してくれたからこそ、僕らもクレージーを知ることができました。ご冥福をお祈りいたします。
(昭和ロマン探求家・穂積昭雪(「元」クレージーキャッツという表現に怒りを覚える24歳)山口敏太郎事務所)
【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou