秋山の次なる野望は、柔道王との大みそか決戦だった。
年内のDREAM最終興行となったこの日、秋山は外岡真徳とのミドル級ワンマッチに登場。全日本空手選手権の無制限級王者を相手に、終始危なげない闘いをみせた。序盤に払い腰で投げ飛ばし、サイドポジションを奪って強烈な鉄つい。このチャンスでは仕留められなかったが、秋山の勝利は目前だった。
1度はスタンド戦に戻ったが、すぐさま大外刈りでテイクダウンし、あっさりグラウンドに持ち込む。最後は馬乗りでのパウンドから、力任せの腕ひしぎ逆十字固めに移行してきっちりタップを奪った。入場時のブーイングを一蹴する勝ちっぷり。試合後は自らマイクをとり、開口一番「年末、吉田秀彦選手とやりたいです」とブチ上げた。
戦前から大みそか決戦に向け、周囲は騒がしかった。ライト級の青木真也から対戦をけしかけられ、ミルコ・クロコップとの対戦も浮上。マット界の“モテ男”にゴールデンカードがいくつも浮上したが結局、秋山自身が切望したのは「青木選手の言葉はありがたいですが、正直気持はそっちに向いていない。吉田先輩しかみていない」とあくまで吉田との柔道王対決だった。
吉田戦といえば、ちょうど1年前にも実現がささやかれた夢対決だ。昨年10月のHERO'S韓国大会で秋山がデニス・カーンを撃破した後、谷川貞治イベントプロデューサーが「カーン以上の相手はいない。個人的な希望としては、吉田選手と(の戦いを)見てみたいな」と発言。しかし、当時の秋山は“ヌルヌル騒動”から復帰したばかりとあって自重気味。最終的に実現には至らなかった。
だが、今回は秋山が持ちかけた格好。吉田戦には「この闘いは、今自分に課せる最大の挑戦なんです」とかなりの思い入れを抱いている。しかし、この対戦を実現するには高いハードルが立ちはだかる。
吉田が主戦場とする戦極は、年明け4日にニューイヤーイベントを開催予定。吉田本人も参戦。意向を示していることから、大みそかとの日程調整は難しい。たとえ条件がそろったとしても、吉田サイドは昨年対戦が浮上した際に「軽い選手の方が有利なことが多い」とふたりの体重差に難色を示している。さらには「それならば瀧本の方が合っている」と瀧本誠をプッシュしているだけに話がまとまるには、まだ解決すべき問題が多いわけだ。
秋山がブチ上げた吉田戦。果たして最強柔道王対決は実現するのか、今後の動向に注目だ。