光浩の父親は会社を経営しており、家は比較的裕福である。母親はシャネルやグッチの洋服やバッグ、アクセサリーなどの高価なブランド品を多数所持していた。それらを光浩は母親に分からないよう次々に質屋へ持っていき、現金に換えていったのだ。
本物のブランド品だけに、どれもソコソコの金額になった。そこで手にした現金を、光浩は何に使ったのか?なんと先輩相手に金貸しを始めたのである。それも利子はトイチ(10日で1割)といった生やさしいものではない。翌日までに倍返し、もし返せなければ…!という、今の闇金も尻尾を巻いて逃げ出す“暴力金融”である。
もちろん先輩から「お金を貸して下さい」と来るわけはない。すべて光浩が「お金に困ってるんでしょ?」と、無理矢理貸し付けたものである。ただし、その“貸付”が同級生や後輩に向かうことはない。あくまでも目上の人間が対象だ。
先輩から倍返しで元利の現金を手にすると、まずは質屋へ行って金を返し、質草を取り出す。そして、母親に分からないようコッソリ戻しておくのだ。
それを差し引いても、手許には多額の現金が残る。それを光浩は遊びに使ったり、高級ブランドの洋服を買ったりしていた。中学生にして、すでにドルチェ&ガッバーナのスーツに身を包んでいたというから、末恐ろしい子どもである。