福岡県警捜査1課性犯罪対策室などは、8月23日、福岡ソフトバンク・ホークスの捕手、堂上(どううえ)隼人容疑者(30=福岡市東区和白丘)を強制わいせつ容疑で逮捕した。
逮捕容疑は19日午後10時半頃、福岡県粕屋郡内のアルバイト女性(20)の自宅ドア前通路で、女性の髪の毛をつかんだり押さえつけたりして、わいせつな行為をした疑い。堂上容疑者は「間違いない」と容疑を認めているという。犯行があった19日には、福岡・飯塚でのウエスタンリーグ、中日戦に4番打者として出場していた。
県警によると、女性がアパートに帰宅した際、堂上容疑者が「オレの顔を見るな」と言い、通路でわいせつな行為をした。女性とは面識がなかったという。女性が110番通報し、周辺の防犯カメラの画像や聞き込み捜査などで、堂上容疑者が浮上した。粕屋郡内などでは8月に入り、同様の手口のわいせつ事件が数件発生しており、県警は関連を調べる方針。
堂上容疑者は神奈川県横浜市出身で、武相高、横浜商科大、日産自動車、香川オリーブガイナーズ(四国アイランドリーグ)を経て、08年のドラフト会議にて育成選手枠5位で指名され、同球団に入団。09年シーズン開幕前に支配下登録された。1軍では10、11年に合わせて8試合出場。8打数2安打で打率.250の成績を残している。今季は7月5日に出場選手登録されたが、出場機会はなく、同8日に抹消された。2軍での今季成績(22日現在)は70試合に出場、163打数42安打3本塁打16打点、打率.258。
球団広報は「被害者の方に深くお詫びするとともに、ファンの皆さまにご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。現在、事実確認をいたしております。しっかりと、事実関係を把握した上で、球団として厳粛に対応してまいりたいと思います」としている。
いくら2軍選手とはいえ、ファンに夢を売る立場の現役プロ野球選手が逮捕されたとなると、その衝撃度は高い。現役引退後であれば、93年の江夏豊(元西武など=覚せい剤取締法違反)、04年の小川博(元ロッテ=強盗殺人)など、複数の例があるが、現役となるとさすがに少ない。
脱税や交通違反を除けば、91年の中山裕章(当時大洋=強制わいせつ)、00年の杉山直輝(当時巨人=強制わいせつ致傷)らの例がある程度。この2人は被害者との示談が成立し、不起訴処分となったが、ともに球団からは解雇された。堂上容疑者はファンの夢を壊したといっても、過言ではないだろう。
(落合一郎)