本物と証明する準備は整った。「万全の仕上がりです」と鳴海助手は胸を張った。レジネッタが素晴らしい状態を誇示している。
「あれが実質的な追い切りだった」という14日の1週前調教。栗東坂路で800m51秒2→37秒7→13秒4の好タイムをマークした。テンからびっしり追われて、自己最速のフィニッシュ。「あれできっちりでき上がったから、もう最後は軽めで十分でしょう。息を整えるだけで大丈夫。青写真通りにきている」と順調な仕上げを強調した。
すべてが狙い通りだ。桜花賞の後はいつものように京都の宇治田原優駿ステーブルへ。「栗東で追い切りをあまりやると、カイバ食いが落ちてしまう」ため、桜花賞の前も同牧場で調整を進めていた。
「向こうでは強い調教をしても、カイバ食いが落ちない。だから、馬体もきっちり回復している。東京への輸送を考慮してもマイナス3、4kg程度。それなら想定の範囲内」調整の難しいこの時期の牝馬だが、完全に手の内に入っている。
そのあたりの工夫が実を結んだのだろう。桜花賞はアッと驚く激走だった。道中、10番手から見事な末脚を発揮、12番人気という低評価を覆して第68回桜花賞馬に輝いた。鮮やかな決め手を発揮した完勝。本来なら堂々の主役として牝馬2冠に挑むところだが、周囲のムードはまだまだ混戦。それをもう一度覆し、桜花賞の強さが本物だったことを証明したい。
マイルまでしか経験がないだけに、距離不安もささやかれるが、「ガツンと引っ掛かるタイプじゃないから、距離はまったく心配していない。あとは自分の競馬に徹してどこまでやれるか。桜花賞に続いていい競馬を期待している」と鳴海助手は笑顔で締めくくった。
同じフレンチデピュティ産駒のアドマイヤジュピタが春の天皇賞を制覇。血統からくる距離不安も今は感じない。「混戦のクラシック」を死語にしてみせる。
【最終追いVTR】スタートから坂路のど真ん中を真一文字に駆け上がった。ゴール前で軽く気合をつけられると、シャープな伸び。時計のかかる馬場でラスト1F12秒5は優秀だ。デキは相変わらずいい。