原作は1998年「週刊少年ジャンプ」に掲載された、うすた京介の短編漫画。代表作「ピューと吹く!ジャガー」などの不条理ギャグ世界とは違うSFハートフルストーリーで、作者自身「ストーリー漫画として描いた中では一番好きな作品」だという。
「うすたさんのファンは芸能界にも多いんだけど、おれは全く知らなかった。原作も録音の前に読んだほど。でも、知らなくてよかったですよ、逆に。もし知っていたら、プレッシャーに潰されていたかも」
3人の少年少女が山の中でウサギに似た宇宙人“エト”と遭遇し、仲良くなる。だが、エトの「地球の生物を死滅させ浄化する」という任務を知り、裏切られた気持ちに。一方、任務と友情の間で揺れるエトに、彼のボスは「お前も地球もろとも死ね!」と告げる。
「近未来、地球が滅びることがあってもおかしくはない。意外にリアルな話ですよ。全くありえないけど、でもひょっとしたら…というような話、おれは好きです」
エトの声優に選ばれたのは、実に予想外の出来事だったという。
「おれはマンガも読まないし、なぜ? みたいな。単純なヤツ、あるいは何かを一生懸命やるのにダメなヤツって基準だったのかな? まぁ“お笑いのキャラのまんまで”という依頼だったんで、無理な要求じゃなかった。むしろ“おれそのものを見ているのかな”と」
声優として難しいことを要求されたわけでもなく、普段どおり、素の感じで演技できたと語る。
「台本だとエトはオッチョコチョイで控え目な、派手なことする子じゃない。そのあたりは監督からは細かく指示をもらって、なるべく近いイメージで演じました。やってるときは“大丈夫か?”と不安だったけど、監督にお任せして。最後、すごく楽しかったですね」
とはいえ、俳優業や声優業に仕事のウェートをシフトしていこうという気はサラサラない。
「モノをつくるのが好きなんで、声優とか後世に残る仕事っていいですね。でも、僕自身が映画を作ることは全くない。参加するのは好きだけど、責任からは逃がれたい。無責任だから今の仕事をしてるんで。皆さんに“日村ってこんなこともやるんだ”と勝手に思ってもらえたらうれしい。クリエイティブだなって思ってもらえれば、そこがいい。僕自身は全然ですが、周囲は“すごいじゃん”って勘違いする、そのノリがいい。出た甲斐があったと思いますよ」
最後にこの作品についてひとこと。
「見たらなんとなく頭が良くなった気がします。ちょい懐かしい感じもしますしね。こんな経験、誰にもあるじゃんって考えさせてくれる映画です。20分という短編アニメなので、気軽に見に来てください」