卒業発表から約4か月が経ち、遂にその日が来てしまった。幕が開くと特別変わった光景があった訳ではなく、いつものチームBIIの『逆上がり』公演であり、これを最後に門脇が卒業してしまうなんて、到底思えない光景だった。いつものように公演は進んでいくのだが、本編が終了して客席からアンコールの声が掛かるまでは、門脇の卒業は実感できなかった。そのアンコールでは、木下春奈とメインボーカルを務めたオリジナル楽曲『なんでやねん、アイドル』の歌詞を「かなこが好きや、かなこが好きなんや〜」と変えて、ファンが合唱をして再びステージに迎え入れる体制を整えていた。
笑顔でステージに戻って来たメンバーは、アンコールの最後の曲『To be continued.』までをしっかり歌いきり、卒業公演は終わりを迎えようとしていた。幕が下りてしまい完全に終わってしまうような流れになってしまったが、客席からはWアンコールが発動。そこでいきなり『ライダー』のイントロが流れて、今では別のチームになってしまった同期の上西恵と2人でステージに戻ってきてくれた。『ライダー』といえば、門脇がNMB48に加入して初めて担当したユニット曲である。ファンにとっても思い入れのある楽曲であり、そこで一緒に組んで歌っていた上西が来るサプライズは、誰も予想すら出来なかった。続いてNMB48にとっての初のオリジナルソング『青春のラップタイム』を歌うのだが、ここで門脇の同期でもある山本彩ら一期生メンバーも駆けつけた。みんなに愛されていた門脇は涙ではなく笑顔を見せてくれた。
フェイバリットソングを歌い終わると、同期の相方であり親友の木下春奈が「佳奈子が卒業して一番寂しいのは私やし、たくさん佳奈子に助けられてきた部分とかもあったので、相方が卒業するのはすごく寂しいんですけど、同期として一番の相方として本当に日本一のタレントさんになって欲しいと思います。卒業おめでとう」とエールを送った。大組閣でも2人は同じチーム(チームBII)に移籍をして、常に門脇の隣には木下がいた。どんな時でも気丈で冷静な木下が、目を潤ませながら涙を流した。そんな木下の姿はこれまで見たことが無かった。
終わりの時間も刻々と迫って来て、門脇とのお別れの時間も近づいてきた。最後に門脇がマイクを持ち「NMB48では当たり前に劇場公演があって、CDが発売されて、握手会が当たり前のようにありました。幸せな当たり前がたくさんあったんですけど、卒業を発表してから、この幸せな当たり前が、当たり前なんかじゃないと改めて感じました。私は明日からNMB48ではなくて、ひとりのタレント門脇佳奈子としてスタートするんですけど、本当はすごく怖くて、寂しくて、でもそれ以上に楽しみです。希望に満ち溢れています。これからNMB48でできなかったことをたくさんしていきたいと思いますので、今後もNMB48も門脇佳奈子の応援もよろしくお願いします」と話した。
NMB48を卒業して寂しくなってしまうが、今後はバラエティータレントとして新たなスタートを切るので、これからにも大きな期待が持てそうだ。4月から趣味でもある釣りの番組『ビッグフィッシング』(サンテレビ)にアシスタントMCとしてレギュラー出演することも決まっているので、楽しみにしたいと思う。最後に「かなきち卒業おめでとう!」。
取材/ブレーメン大島 (C)NMB48