事の発端は今年3月、同番組の街頭インタビューに応じた中国・広州出身の女性の言葉を、日本語で「あんまり中国にカラスが飛んでいない」「みんな食べているから少ない。とにかく煮込んで食べて終わり」と訳して放送された。しかし、番組放送後に話した内容と違うという女性からの指摘を受け、制作スタッフが意図的に編集していたことが判明したのだ。
同月、同局は番組の公式ホームページで経緯を説明したうえで、「テレビメディアとしてあってはならない行為であり、心からお詫び申し上げます」と謝罪。また、同局の福田博之社長も定例会見で、編集したのは外部のフリーランスの男性ディレクターで、会社の聞き取りに対して差別的な意図はなかったと答えていると説明した。
「この一件はSNSやニュースで急速に拡散され、視聴者からは『悪意ある編集』『文化への偏見を助長する行為』『国際問題にまで発展する恐れがある』といった批判が殺到したのです。当然、中国人コミュニティからも抗議の声が上がり、非公式に中国大使館から日本テレビに問い合わせがあったことが一部で報じられていました」(テレビ関係者)
4月発売の週刊誌「週刊実話」(日本ジャーナル出版)では、“芸能プロ”からのタレコミを掲載。話によれば、「番組のフリーディレクターが適当に物語を作ったんです。このディレクターはいつかやらかすと思われていました。でもマツコ・デラックスの“お気に入り“で何とかやってきたんです。数万円程度のギャラも支払っていたため、まさか露呈するとは思っていなかったようです。現地のスタッフが局のプロデューサーに訴え、今回の事実が発覚しました」としている。
そのうえで、同局は「とにかく面白いものにしたいという思いで、意図的に編集したことが原因ですが、演出の範囲を超えておりあってはならないことです。すべてをあわせて不適切でした」と陳謝。番組の街頭インタビューは当面の間中止し、再発防止策を講じることを明らかにしていた。
そして、冒頭の説明会で大井部長はこの件について「審理入りしたことは極めて重く受け止めています。今回のようなことが起きないように再発防止策を社内でいろいろ重ねて検討して研修も行い、編集でのチェック体制の見直しなども行いました」と説明。そのうえで、「トラブルが二度と起きないような再発防止策ができた上で、ああいうあってはならないことが起きた上でも引き続き面白い番組を提供できれば」と、番組継続を宣言した。
この発言について、22日のニュースサイト「デイリー新潮」(新潮社)では「BPOの審議入りで番組打ち切りの可能性も十分あった」と“民放プロデューサー”の見解を掲載。その理由に「それほど大問題になりかねない“捏造編集”」と切り捨てた。その一方で、「『夜ふかし』は数字の取れる看板番組ですし、日テレにとってはマツコ・デラックスと村上信五を押さえているというのも打ち切りたくない理由の一つ」と分析し、「今はイエローカードになったようなイメージ」と私見を述べている。
同番組は、再発防止策を公表するまで街頭インタビューを中止していたが、すでに現在は復活。とはいえ、以前のような攻めた印象は失せた気がするが、捏造発覚後も視聴率は一定を保っているとのことである。一時は“番組打ち切り説”もささやかれたが、何とか“山”は越えたようだ。