トランプ大統領が4月2日、ホワイトハウスで演説を行い、世界各国に相互関税をかけると発表した。
アメリカは、100カ国以上に一律10%の基本関税を適用。うち貿易障壁が高いと認めた約60カ国には、税率を上乗せする「相互関税」を課す。日本に適用される相互関税の税率は「24%」としている。関税の影響で、エンタメ関連ではニンテンドーの新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」が、影響を見極めてから予約を開始するように変更した。
同関税について、イギリス、EU(欧州連合)、カナダ、オーストラリアは「国内外の経済に影響を及ぼす」「世界経済にとって大きな打撃」「完全に不当」と反発の姿勢を見せている。ただし、いずれの国も「貿易戦争」は望んでおらず、協力の道を見つけ、話し合いで解決していく意向だ。
トランプ米大統領の最側近でテスラ最高経営責任者のイーロン・マスク氏は、「ゼロ関税」の実現による“自由貿易圏”の創設を望む「反関税」の立場だ。関税において、トランプ大統領とマスク氏の立場は真逆だ。関税が成立するとテスラ社は赤字になると予想されている。マスク氏はトランプ大統領に関税についてアドバイスをしていたものの、聞き入れてもらえなかったようだ。これらの理由から、マスク氏はトランプ大統領と決別するという、うわさもある。
自国の利益を最優先に考えるのは、トップの考えとしては間違いではない。しかし、あまりにも他国や自国のアドバイザーの意見を無視し、トランプ大統領自身のやり方を突き通せば、側近だけでなく、世界各国からも孤立してしまう。力のある国だけに、各国への影響は大きい。混迷が続く世界情勢の中、各国が反発する関税を通し話し合いでも決着がつかなければ、行き着く先は貿易戦争だろうか。世界の混迷はさらに、深まっていく。