ブリンソンは両チーム無得点で迎えた5回裏1死の打席で、阪神先発・ビーズリーがカウント「0-1」から投じた直球を強振。打球は中堅フェンス最上段に直撃する長打性の当たりとなった。ところが、本人は本塁打を確信したのかゆっくり走っていたため二塁に到達することができなかった。
試合後の報道では、原辰徳監督がブリンソンの走塁について「あれはもう、ほんとに、志す少年たちに対して、全ての野球人に対して、なんていうか、私自身の指導不足というところで、恥ずかしいプレーでした」とバッサリ切り捨てられたことが伝えられた。また、ネット上にも批判や呆れ声が多数寄せられたが、ブリンソンが首脳陣・ファンのひんしゅくを買ったのはこれが初めてではない。
>>巨人ブリンソン、反省?「5回裏の数倍速い」驚きの声も、阪神戦終盤の走塁が話題<<
今年1月に年俸1億3000万円(推定)の単年契約で巨人入りしたブリンソンは、メジャー通算28本塁打の実績を持つ外野手。今季は9日終了時点で「69試合・.243・8本・26打点」と、確実性には欠けるもののセ・リーグ助っ人では4位となる本塁打数を記録している。
一方、走塁面については9日の試合に匹敵するようなミスがここまで頻発している。4月6日・DeNA戦では、両チーム無得点の2回表1死一塁で左中間を破る長打を放つも、三塁で止まった一走・岡本和真の動きを見ていなかったのか二塁を回ってしまう。これを見た岡本は仕方なく本塁へ向かうも憤死。さらに、この間に三塁に到達したブリンソンはアウトカウントを勘違いしたのか、ベースを離れてベンチへ帰ろうとしてタッチアウトにされた。
7月9日・DeNA戦では試合開始直後の1回裏に先頭打者としてヒットを放った後、続く丸佳浩が左飛に倒れる。この時、ブリンソンは丸の打球がヒットになると思ったのか一二塁間の中間過ぎまで飛び出しており、一塁へ戻りきれずアウトになった。
「判断ミスが相次いでいるブリンソンに対しては、巨人首脳陣も当然改善に向けた指導は行っていると思われます。ただ、原監督が8月9日試合後に口にした『指導不足』という言葉を踏まえると、コーチ陣の指導が上手く伝わっていない、もしくはブリンソンが指導にあまり耳を傾けていないといった問題が発生している可能性もあるのでは」(野球ライター)
年俸に見合わないようなプレーが続いているブリンソンだが、それでも球団が今オフ見切りをつけて放出するかは不透明な状況といえる。ブリンソンは打撃は今一つ、走塁はサッパリだが、守備では8月6日終了時点で、セ中堅手では2位のUZR(6.2/同じ守備位置の平均的な選手に比べどれだけ失点を防いだかを表す指標)を記録していることが伝えられている。
また、巨人はブリンソン以外の中堅手であるオコエ瑠偉(.235・2本・6打点)、萩尾匡也(.143・0本・0打点)、岡田悠希(.111・0本・0打点)らが振るっていない。ブリンソンが左手首痛で抹消されていた期間(7月16~27日)には、今季中堅から右翼にコンバートしている丸が中堅を務める試合もあった。
他中堅手に目途が立つまでブリンソンを使うのか、それとも放出して空いた枠に誰かを抜てきするのか。原監督や球団が今オフどのような判断を下すのかに注目が集まる。
文 / 柴田雅人