女性が主人公というのが定番だった“朝ドラ”。もちろん過去にも男性メインの物語もあったが、あまり数字的に振るわないというのもまた“定説”だった。だが、どうしてここまで盛り返しているのか。
まずは、万太郎の青年期、早めに後の妻となる寿恵子(浜辺美波)と出会わせて、これからは夫婦の物語になっていくことを予感させたことにある。名もなき植物に名前をつけて新種を発見するという、ともすると地味なストーリーになりがちなところを、神木の好演と、浜辺の存在も相まって、見やすい作りになった。
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劇中に欠かせないのが、そんな万太郎の行く手を阻む、個性的な登場人物。故郷・高知の酒蔵「峰屋」の分家3人衆を始め、上京後は、新種発見を自分の手柄にしようとする田邊教授(要潤)や、寿恵子を別宅に招いて妾にしようとする実業家・高藤(伊礼彼方)など、ヒール役が印象的で、出るたびに盛り上がっている。
もちろん、万太郎の相棒・竹雄(志尊淳)、万太郎と植物の共同研究を手掛ける大窪(今野浩喜)、その2人を見守る徳永助教授(田中哲司)、石板印刷所の親分・義平(奥田瑛二)などなど、脇役にしておくにはもったいない、魅力的なキャラクターも揃っている。
他にも、どこまで史実に基づいているかは定かではないが、万太郎が、寿恵子の提案で図鑑作りのために石版印刷機を購入して家に持ち込んだりと、ダイナミックな描き方も受け入れられている。残りあと3か月。一体、どんな展開が待っているのだろうか。