4月25日の巨人戦が早々に「雨天中止」が発表されると、阪神・岡田彰布監督は記者団の取材要請に応じ、こう答えた。
「可能性あるとしたら、ミエちゃん(ヨハン・ミエセス外野手)やろなあ。あのパワーと言うか、交流戦なったらDHもあるし」
前節の中日3連戦での総得点は、たったの「4」。チーム打率2割2分5厘はリーグ5位、総本塁打6も同5位。一発を狙える新助っ人を“指名”するのも当然だろう。
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この日、ヤクルトが敗れたため、単独2位となったが、「この攻撃陣で貯金2は出来過ぎ」と言うべきだろう。
「ミエセスの昇格は少し前から囁かれていました。身内の不幸で一時帰国していたため、遅れたんです」(在阪メディア)
室内練習場に阪神ナインがボールを弾く音が鳴り響く。「練習と試合は違う」とはよく言うが、打線を眠りから覚ますにはカンフル剤も必要である。
23日の中日戦だった。1対2で迎えた9回表、一死一、二塁となったところで、岡田監督は二塁走者の大山悠輔に代走を送った。渡邉諒である。ベンチには小幡竜平など俊足の選手も残っていたが…。
「打線低迷が、岡田采配に影響したのでしょう」(球界関係者)
また、次打者の梅野隆太郎もそのまま打席に立たせている。梅野は岡田監督が「(打率)1割バッターが多すぎる」とボヤく“打線低迷”の原因を作った一人だ。
「一打逆転は岡田監督の頭の中にはなかったようです。同点にする、延長戦になると判断したようです」(前出・同)
同点にする。そのためには、大山よりも足の速い選手を代走を送らなければならない。しかし、延長戦に入ったら、大山の4番のところに入った代走選手に打順が回って来る。
そう考えて、俊足・小幡ではなく、渡邉を代走に送ったそうだ。
「小幡を代走で起用し、梅野に代打・渡邉を送る選択肢もありました。岡田監督は梅野の次の打順に入った木浪聖也がこの日ノーヒットだったことも加味し、渡邉が打って同点になっても、逆転はできないと予測し、消極的な采配となりました」(前出・同)
対戦チームも一巡し、在京球団のスコアラーもこんな話をしていた。
「阪神打線は一発の脅威がないから、大量得点を奪われる心配がない。1番・近本(光司)、2番・中野(拓夢)は打撃好調だけど、クリーンアップの成績がイマイチ」
名古屋から帰阪する際、「岡田監督が打線改造を匂わせる発言をした」との情報も聞かれた。佐藤輝明にまだホームランが出ていない。その佐藤も室内でバットを振り続けていた。
「取り組み方は間違ってないと思うわ」
岡田監督が「オレも5、6月くらいまで打率1割あったで。3年目やったかな。まあ、3割打ったけどな、最後には」と佐藤の打撃練習を遠巻きに見つめながら言った。
佐藤も今年が3年目だ。“岡田ロード”を踏襲してもらいたい。打線が上向きになるには、佐藤のホームランが不可欠だ。(スポーツライター・飯山満)