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また大手の〝持ち回り〟に戻る?『日本アカデミー賞』、ヒットしなかった作品が受賞した背景

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妻夫木聡

 「第46回日本アカデミー賞」の授賞式が10日、都内で行われ、石川慶監督の「ある男」が最優秀作品賞を含む最多8冠を獲得。最優秀主演男優賞を妻夫木聡、最優秀助演男優賞を窪田正孝、最優秀助演女優賞を安藤サクラが受賞した。

 妻夫木は、亡き夫(窪田)の名前が別人のものだった妻(安藤)とともに事件を調査し、自分自身とも向き合っていく弁護士役を演じた。

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 最優秀主演男優賞は2011年の「悪人」以来12年ぶり2度目となるが、作品に対する映画界の評価と集客は反比例だったようだ。

 「興行収入は5億円ほどで、昨年11月の公開後もそれほど話題にならなかった。昨年までの過去3年の最優秀賞受賞作品と比べると微妙な感じ」(映画業界関係者)

 昨年までの過去3回の最優秀作品賞を振り返ると、2020年は政界の深い〝闇〟を描いた話題作「新聞記者」が受賞。W主演の松坂桃李が最優秀主演男優賞、シム・ウンギョンが最優秀主演女優賞を受賞。

 2021年は草なぎ剛がトランスジェンダーの主人公を演じた「ミッドナイトスワン」が受賞。草なぎが最優秀主演男優賞を受賞。

 そして、2022年は米の「第94回アカデミー賞」で「国際長編映画賞」を受賞した「ドライブ・マイ・カー」が受賞。主演の西島秀俊が最優秀主演男優賞、濱口竜介監督が最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞していた。

 「この3作品の共通点はいずれも、投票権を持つアカデミー会員が多い東映、東宝、松竹、KADOKAWA以外の配給作品。以前、北野武監督は日本アカデミー賞を『大手の持ち回り』と批判していたが、ようやくその傾向が変わったと思われた。ところが、今回『ある男』は松竹。それほどヒットしたり話題になったわけでもないのに受賞できたため、またまた〝持ち回り〟に戻ってしまうことが危惧される」(映画担当記者)

 大手の配給作品をしのぐ作品が続々と世に出てほしいものだ。

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