「いい人じゃない人」は「いい人じゃない人」と付き合い、「ロクでなし」の周りには「ロクでなし」が集まってくる。
マースタイン博士が婚約しているカップル99組を調べたところでは、自己嫌悪感の強い人の72%が、やはり自己嫌悪感の強いパートナーを選んでいたそうだ。
つまり・・・ 人はどこか自分に似た人を選ぶ傾向があるのだ。
陽気な人は陽気な人を、陰湿な人は陰湿な人を。
学校のクラスでも不良っぽい人は不良っぽい人たちのグループを作り、優等生は優等生の、そうでもない人はそうでもない人のグループを作るもの。
中国の思想家で儒家の荀子は
「その子を知らざれば、その友を見よ」
と、語っている。「類は類を呼ぶ」「類は友を呼ぶ」という言葉もある。あなたが年収200万円なら年収5千万円の友達と普通に付き合うのは難しい。食事する場所ひとつ相手に自分のところまで降りてきてもらわないといけないからだ。
相手が高学歴で、一方が低学歴でも会話が合わないことが多い。合わすには、向こうがレベルを落としてくれるか、こちらが勉強して相手の話題で盛り上がれるようにならないといけない。
結婚相手を探している女の子に「相手は最低でも東大か有名私立大卒」なんていう人がいるが、その人自身が、「東大や有名私立大」に入学すれば、知り合うキッカケはとても大きくなる。
その女の子が「相手は一部上場じゃなきゃ」というのなら、その子が一部上場企業に入社するのが近道だ。
それが無理なら、自分につり合った相手を探した方が幸せになれそうだ。
複数の調査によると、恋人同士の身体的魅力が、同じレベルになりやすいことがわかっている。
これを「つり合い仮説(マッチング仮説)」と呼ぶ。お互いの身体的魅力の度合いが似通っているというのは、お互いに劣等感や優越感を感じることが少ないため、安定した関係が続くと考えられている。これは容姿だけではなく、性格や経済力、家柄などもそうであろう。
もし「私の周りにはロクな奴がいない」「なんだかひどい恋人とばかり付き合ってしまう」という人がいたら、もしかしたらその人自身がそのレベルの人なのかもしれない。
もしそうなら、その人自身がレベルを上げていかないと、これから出会う人もあまり変わらないだろう。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。