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ヤクルト・村上、56号直前に見せた意外な一面 記録更新の重圧は限界寸前だった?

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画像はイメージです

 「シーズン最後で56本を打つなんて、漫画でも描けない」

 レギュラーシーズン最終戦の最終打席で、東京ヤクルト・村上宗隆にNPB史上日本選手最多となる「56号アーチ」が飛び出した。「漫画でも」の称賛コメントを発したのは、高津臣吾監督である。

 「56号は、もう『祈り』と言うか、『お願い』に近かったです。首脳陣はたとえホームラン記録がダメでも、三冠王だけは獲らせてやろうと思っていました。第3打席までにヒットを出なかったら、試合途中で交代させることも考えていました」(チーム関係者)

 「三冠王」を打ち崩す可能性があったのは、打率部門。2位の中日・大島は3割1分4厘で全日程を終了、村上は3割1分7厘(試合前)まで打率を落としており、「3打席ノーヒットなら辛うじて抜かれない」という状況だった。

 56号が出たのは、手元の時計で午後8時19分。その約1時間前の第2打席でヒットが出たので、この時点で「令和初の三冠王」は誕生していた。

 >>ヤクルト・村上の表情に「相当キレてそう」と指摘 三振判定後の一幕が物議、審判の過剰なジェスチャーに批判も<<

 村上は56号を放つ前、“意外な一面”も見せていた。

 6回裏、ともに三遊間を守る長岡秀樹がホームランを放った直後だった。

 村上はベンチに戻ってきた長岡に近付いた。長岡の背中に両手を当てて、スリスリ。長岡が振り向いて、村上とひと言二言。何を話していたのかは分からなかったが、次に村上は長岡の背中をスリスリした手のひらを自身の胸に当て、擦りつけるようにして動かした。

 前出のチーム関係者がこう説明する。

 「ゲン担ぎですよ(笑)。ホームランを打った長岡にあやかって自分も、と」“村神サマ”でも、人間らしい一面があるんだな…。というか、何かにすがりつきたい心境だったのだろう。

 55号アーチが出たのは9月13日の巨人戦だから、「新記録」は出場14試合61打席ぶりとなる。

 「前日2日の阪神戦で、村上をスタメンから外しました。高津監督は『リフレッシュ』と言ってましたが、そんな生易しいモンじゃない。村上は新記録の重圧に負けそうになっていました」(プロ野球解説者)

 また、同日は4打席とも初球からフルスイングしていた。第1打席の初球は空振り、第2は適時打、第3はファール。56号も初球を捉えた一撃だった。

 「一球目から打ちに行くと決めていたみたい。ボールを見極めようとすると、積極的になれないので」(前出・チーム関係者)

 「応援してくれるファン、これまで支えてくれた関係者、試合で使ってくれる首脳陣のために打ちたかった」という。

 プロ2年目の2019年開幕戦。小川淳司監督(当時)は開幕オーダーに「6番村上」を記したが、他コーチが首を傾げた。「レギュラーは奪い取るもの」と意見したが、小川監督は譲らなかった。その育成方針は高津政権でも継承され、今日に至った。

 「村上は現状に満足せず、常に上をめざす性格」(前出・プロ野球解説者)

 球団史上初の2年連続日本一、23年は61本。村上は止まらない。(スポーツライター・飯山満)

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