「ムー大陸」はジェームズ・チャーチワードが言及した大陸である。チャーチワードは、英国軍人であった1868年にインドに駐留していた。ある寺院の僧侶に絵文字のある粘土板を見せられ、かつて太平洋に失われた大陸があったことを知ったという。その後、チャーチワードは「失われたムー大陸」を出版し、広く世界にこの大陸の話は伝播していった。後にムー大陸はチャーチワードによる創作であることが判明したが、彼の説を信奉する人々による様々な「裏付け」がなされ、今でも広く信じられている。
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「アトランティス大陸」は、古代ギリシアの哲学者プラトンの著書『ティマイオス』や『クリティアス』でその存在が知られている。この文明は強大な軍事力を持っていたが、神々の怒りに触れてしまい一夜にして海中に没してしまったという。だが、こちらもプラトンやその弟子による創作だったとみられている。
なお、近年グーグルアースや衛星を使った地図アプリの発達で、太平洋の海底にある都市の遺跡らしき痕跡が発見され、アトランティスの遺構かと話題になったが、結局これらは自然にできた海底地形の可能性が高いとみられている。
「ムー大陸」や「アトランティス大陸」に比べればネームバリューは劣るが、英国の動物学者フィリップ・スクレーター氏により、仮説ができたのがレムリア大陸である。これはアフリカ中部と東南アジアのマレー半島・インドネシアにのみ生息する動物が多々いることから、かつてインド洋に巨大な島(ないしは陸橋)があったのではないかという推論から生まれたもの。それがオカルトの大家の書籍で言及されたため、オカルトやスピリチュアルの分野でも聞かれるようになった。レムリア大陸は仮説からスタートしており物証が何もない分、前者2つの大陸と比較してかなりの属性が後付けされているようだ。
一方で、失われた大陸とまではいかないものの、そこそこの広さを持つ島や大地が消えてしまうという事例は実際に存在する。そのひとつが、かつてウェールズ沖に存在したとされる「カントレール・グウェロッド(Cantre'r Gwaelod)」だ。
この島はイギリスのウェールズ沖、カーディガン湾近くに存在していた島だったとされているが、いつの間にか姿を消してしまった。そのためイギリスでは「ウェールズ地方のアトランティス」とも呼ばれていた。
そんないつしか記録からも消えてしまっていた謎の島「カントレール・グウェロッド」が13世紀の地図には記載されていた事実が判明。いったいどのような島なのか、長年の疑問に終止符が打たれるのではないかと歴史化や専門家らの注目を集めている。
問題の地図は「ゴフ地図」と呼ばれるもので、1774年にリチャード・ゴフが遺産から手に入れたもの。その地図でカーディガン湾を確認すると、現在は存在しない2つの不思議な島が描かれているという。この島についてスワンシー大学のサイモン・ハスレット教授は、「ゴフ地図は、当時彼らが自由に使っていた測量道具を考えると、非常に正確です」としており、創作や誤って記載されたものではないと主張している。
また、「もしこれらの島が存在したのであれば、大昔に波にさらわれた可能性が高い。おそらく嵐や津波による洪水や浸食の影響を度々受けており、当時は人が住んでいたのかもしれませんが、脆弱な海岸沿いに住むことを人々が断念し、やがて島は利用されなくなっていった。そして侵食が進行した結果、本当に姿を消してしまったのかもしれません」と推測している。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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