武尊は天心戦後、バックステージのインタビュースペースに現れたが、関係者や仲間への謝罪をしただけで、涙で言葉にならず、関係者が「落ち着いたらコメントを出しますので」と会見を打ち切っており、その後の去就が注目されていた。
会見で武尊は「先日、那須川天心選手と東京ドームで試合をさせてもらって、試合は敗れてしまったんですけど、本当にたくさんの人に見てもらって、東京ドームで超満員のお客さんの中で最高の相手と最高の試合をさせてもらいました。試合が終わってから1週間になりましたけど、試合後にインタビューもまともに受けられず、僕の口から応援してくれている皆様にお礼を言うことも出来なかったし、今回の試合、たくさんの人に注目してもらって、こうやってたくさんの人の媒体の方にインタビューしてもらえる機会も試合後に作れなかったので、今日改めて会見を開かせていただきました」と会見に至った経緯を説明。
武尊のSNSには武尊の今後を心配したファンからのメッセージが殺到していたが、「全てに目を通した」そうで、「そういう人たちが毎日のように『辞めないでください』、『引退しないでください』、『これからもずっと一生応援します』っていう言葉を本当にたくさんたくさんいただいて、その言葉をもらったことで僕も一つ勇気を振り絞ることが出来ると言うか。正直、本当この10年は怪我とか体調だったり、無理しながらでもやってきた部分があって、今回も負けた後も無理してでも絶対にリベンジしてやるって思ったこともあったんですけど、そういう人たちの言葉をいただいて、1回僕の心と体のコンディションというのを正常に戻して、そこからもう1回新しいチャレンジが出来たらなという気持ちでいるんで、1回ここで僕は戦う舞台からは離れようと、前向きな意味で休養させていただこうと思っています」と前向きな休業宣言。
その理由として、武尊は拳とヒザの怪我が完治しないこと、そして「これは公表するか悩んだんですけど」とした上で、「数年前から精神科に通わせていただいていて、パニック障害とうつ病と診断されていて。その部分っていうのは昔からでもあったんで、自分でもそこと上手く付き合いながら出来てたんですけど、今回の試合の約1年前ぐらいですかね? まあ決まるまでで言ったら数年間ですけど、そこで自分の心が耐えられるのかなっていう不安もあったし、知らず知らずのうちに自分の心が壊れていっているのを感じていて…今回の試合前にちょっと体調が悪くなった時期があって、復活する姿を見せることが次のまず1個目の戦いかなと思っています」とパニック障害とうつ病を患っていることを公表。
続けて、「まずはその戦いにしっかり勝って、また元気な姿をみんなに見せられるように必ず復活したいと思うので、その戦いをみんなで応援してくれたら嬉しいなと思います。休養はさせてもらうんですけど、体は今まで通り動かすし、出来るトレーニングはこれまで通りやっていくし、何もやらないとそれこそ本当に気持ちが落ちちゃうと思うんで、出来る限りのことだったり、少し時間が経ってからですけど仕事とかもちょこちょこやりつつ、SNSも変わらずファンの人に姿を見せられるようにはやっていこうと思っているので、変わらず応援してもらえたら嬉しいなと思います」と復帰を約束した。
また、「今回負けてしまって、K-1の大将としてK-1を背負わせてもらって、ずっと戦わせてもらって、今回の試合もK-1の代表として戦ったつもりだったんで、そのK-1の代表として負けてしまったということは、僕はもうK-1を背負う資格はないなと思っています。ケジメとしてこのベルトは返上させてもらって、次の世代にバトンタッチしたいなと思っています」と保持しているK-1スーパー・フェザー級王座の返上も発表。
「本当に言葉をかけてくれた人たちもそうだし、心の中で思ってくれている人たちの気持ちも僕には届いているんで、そういう人たちに感謝したいと思います。わがままですけど、なんか最後に勝つ姿を見せてから終わりたい」という武尊には早速多数のファンから励ましの言葉がSNSに溢れ返っており、天心はキックを卒業しボクシングに転向してしまうが、武尊が引退を踏みとどまったことに対する安堵の言葉も見られた。
K-1は武尊が欠場している間に新たなスター、そしてK-1を背負うエースを生み出すことが出来るのか?期待しながら注目したい。
(どら増田 / 写真・山内猛)