ニッポン放送は【ニッポン放送からのお願い】というタイトルで、「有楽町ニッポン放送本社付近での出演者の出待ち・入り待ちは全面的に禁止とさせて頂いています」と出演タレントがラジオ局へ出入りする時間を見計らい、声をかけたりサインをねだる等の行為を全面的に禁止したのだ。
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熱狂的リスナーたちの「出待ち」は元々、公式で認められたものではないが、ニッポン放送の伝統と歴史を形成するのに一役買っていたのは間違いない。そのため、今回の声明発表には「歴史が変わった」とする向きもあるようだ。
例えば、1981年から1990年まで放送された『ビートたけしのオールナイトニッポン』では、毎週のようにビートたけしの出待ちを狙う熱狂的ファンがニッポン放送前に集まっていた事は有名だ。
出待ちファンの中にはたけしへの弟子入り志願者も多く、松尾伴内や浅草キッドを始めとするたけし軍団の多くは、ニッポン放送出待ち組の芸人である。また、放送作家など裏方の出待ち経験者も多く、伊集院光の番組で長年に渡り作家を務めた渡辺雅史(通称・渡辺くん)も、伊集院がニッポン放送から出て来るのを待って弟子入り志願した人物だ。
このように「出待ち」は、プロ志望の人物を業界へ引き上げるというプラス面もあったが、出演者が迷惑を被るマイナス面もあったのは事実だ。
2016年に報道された福山雅治のストーカー女性事件(福山がファンを名乗る女性が福山の家に合鍵を持って侵入した事件)では、犯人女性がニッポン放送へ現れ福山の帰りを待ち構えていた。また、こちらは事件にはなっていないが、2014年の『ナインティナインのオールナイトニッポン』で矢部浩之が卒業する際には、ニッポン放送前に500名近いファンが集合。その中に矢部の好みの女性ファンがいたらしく、「初めてやわ。入り待ちとか出待ちで、可愛い子見たん」と発言し、岡村が思わず「謝罪せなアカンくらいの発言やな」とたしなめる姿が放送されるなど、トラブルの元になる事もある。
なお、4月12日に出されたニッポン放送の声明の対象は、あくまで一般リスナー達であり、報道陣に関しては規制は明らかになっていない。
ニッポン放送にとって「出待ち規制」は1つの伝統の終わりを意味する一方、コロナ禍や芸能人へのストーカー被害など問題が明るみになっている以上、規制がかかるのは仕方がないのかもしれない。