2試合続けての同一カードとなった東京ヤクルトとのオープン戦で(3月3日)、新庄監督が「これまでとは違う一面」も披露した。1対1の同点で迎えた9回裏だった。一死一塁で、この日、「4番・ライト」で出場した今川優馬が打席に向かおうとした時、ベンチを飛び出した。
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「代打・田宮(裕涼)」を告げる。田宮はその期待に応えられなかったが、新庄監督は5番・郡拓也にも、カウント1ボール2ストライクのところで佐藤龍世を代打起用した。
「カウントの途中での代打? これまでも9回最後の攻防で守備位置を変えるなどしてきましたので、特に驚きはありませんでした」(地元メディア)
しかし、試合後はいつもとは様相が違った。4番抜擢の今川に代打を送ったことについて質問されると、「あり得ない。ケガにつながる」と、まくし立てたのだ。
笑顔を繕っていたが、ちょっと怒っていた。こんな言動は初めてではないだろうか。
関係者たちの話も総合すると、今川は守備用のシューズで打席に向かおうとした。スパイクに履き替えなかったのを見て、「ケガにつながる」と判断したそうだ。
「いや、攻守でシューズとスパイクを履き替える選手は少なくないんです。特に札幌ドームのような人工芝の球場では、『守備はシューズ、打席に立つ時はスパイク』と分けて使う選手も多いんです。オープン戦の期間中、疲労が溜まっている選手が意図的にスパイクを履かないこともありますが」(球界関係者)
今川がスパイクに履き替えかった理由は不明だが、指揮官の眼には「スパイクに履き替えて打席に立てる状態」と映ったのだろう。
新庄監督は選手をよく見ている。いや、細かいところまでしっかり見えていると言うべきか…。
昨今のプロ野球報道では“試合中のオーバーアクション”ばかりが取り上げられている。頭を抱え込み、膝から崩れ落ちてみせたこともあった。明るい性格なので自然に出たものだとは思うが、東京ヤクルトとの2連戦を窺う限り、直立不動で腕組みをし、グラウンドを凝視している時間の方が長かった。
「ホームランを打った万波中正ですが、打撃フォームのことで、新庄監督からアドバイスを受けていたそうです。『ここ最近、ちょっと前かがみになってきた』と注意されて」(前出・同)
ピッチャーでは8回から登板したドラフト8位の新人・北山亘基(京都産業大)が目立った。3者連続での空振り三振に斬ってみせ、球速も150キロ台を続けて出していた。しかし、新庄監督は、ここでも“独自の好投手論”を披露してくれた。
「スピードよりもキレ。バッターボックスから3、4メートル手前での、そこが良いんだよね。彼の投げるボールは」
着眼点が違いすぎる! 改めてだが、どんな野球を繰り広げてくれるのか、ペナントレース開幕が楽しみである。(スポーツライター・飯山満)