2021年シーズンは開幕には間に合わず、5月23日に初マウンドに立つと、そこから19試合に登板しチーム最多の120イニングを投げ抜くなどさすがの貫禄を見せつけたが、勝ち星は5勝に終わった。
2022年シーズンは「1年間ローテーションを守る」ことは大前提として「25、6試合は(先発)登板する」と逆算。「その中で自分が何勝何敗したかはあまり関係なくて、どれだけその(登板した)試合で勝つことができたのかに重点を置いていきたい。その中で(チームが)何勝したかを常に意識してやっていきたいと思います」とした。
「例えば5回5失点してもチームが勝てば、自分が登板して勝ったと思えばいい。8回無失点と自分がいいピッチングをしようが、チームが負け、または引き分けてしまえば、自分のピッチングにはあまり価値がないと思っている」とチームの勝利至上主義を全面的にアピールした。
もちろん「とにかく自分に勝ちがつけば、絶対に25、6試合のうちの1勝になるわけなんでそういったことは意識する」と自らの手で勝ち取ることが最善としながらも「勝ち負けがつかなかったときも、どうやったら勝てたかを意識しながら、1週間に1度しか投げないので高い意識を持ちたいなと思います」とスターターとしての矜持を見せた。
ルーキーイヤーの2016年、開幕ローテーションの座をつかむと5試合連続でクオリティスタートを達成するも、味方の援護に恵まれず4連敗を喫するなど“勝運”に見放された経験からも“チームを勝たせるピッチャー”へのこだわりを強くさせるのだろう。2年連続開幕投手を任されるなど絶対エースとして君臨した今永昇太。完全復活の頭脳派左腕が、チームを勝利へ導いていく。
取材・文・写真 / 萩原孝弘