>>広島・佐々岡監督の試合後コメントに疑問「データを把握してない」の声 前提から間違っていた? 反撃機を潰した代打策に批判<<
広島がDeNAに完封勝ちした(10月12日)。3位・巨人は阪神に敗れたため、4位・広島とのゲーム差は「5.0」。残り試合は広島が11、巨人は8。残り試合数の少なさから「巨人がギリギリで逃げ切る」との見方もされているが、
「分からないよ。今の広島なら一気にゲーム差を縮めてくるかもしれない」
と“警戒する声”も多く聞かれた。
「クライマックスシリーズでぶつかりたくないのは、広島の方」
そんな声もヤクルト、阪神双方から聞かれた。
12日の勝利で、広島は今季2度目の6連勝。上位チームが警戒を強める理由は、その“試合内容”にある。
まず、12日は九里亜蓮投手がハーラートップタイ12勝目を挙げた。9月の月間MVP投手の床田寛樹投手もいて、クローザーの栗林良吏投手につなぐというスタイルが確立されている。
「佐々岡真司監督がラストスパートをかけ、九里の登板間隔を中4日にすれば、3試合に登板できます」(プロ野球解説者)
打線も主砲・鈴木誠也外野手が好調さを持続しており、5年目の板倉将吾捕手が大きく成長した。首位打者のタイトルをこの2人で争っているわけだから、得点効率も高い。
そのせいだろう。前日11日のドラフト会議で広島は1位入札の抽選クジを2度も外してしまったが、佐々岡監督の表情は明るかった。グラウンド外ではメガネをかけているせいか、記者団に囲まれても、質問者を見ているのか分からないような雰囲気だった。しかし、3度目の入札となった関学大・黒原拓未投手の特徴を語るなど、饒舌な一面も見せていた。
広島のチーム関係者がこう続ける。
「最初の1位入札は、西日本工大・隅田知一郎投手(西武交渉権獲得)でした。隅田クンの抽選に外れたら、高校生の指名に切り換える案も出ていたんですが、ドラフト会議当日の最終会議で佐々岡監督が『即戦力、それも左腕が欲しい』と強く主張してきました」
佐々岡監督が強く意見を言うのは珍しいことだ。性格がマジメだからだが、常に悩んでいて、一つの結論を出してから「本当にそれで良かったのか?」と考え直していた。
「東京五輪を戦った代表チームに4人も選手を送り出しているんですよ。この順位にいる方がおかしい。選手に任せて、監督はデンと構えていれば勝てるんです」(前出・プロ野球解説者)
頭では分かっていても、できない。1つのプレーに一喜一憂してしまうのが監督業だ。一時は最下位にも転落し、佐々岡監督は良い意味で開き直ることができたのかもしれない。
「大瀬良、九里の両投手が国内FA権を取得しています。大瀬良の移籍は考えにくいが、『九里は動く』と見る声も聞かれました」(球界関係者)
近年、広島は主力選手のFA慰留が続いている。逆転でCS進出が叶えば、選手もチームへの愛着を強めるはず。ヤクルト、阪神が「ぶつかりたくない」と見ているのは、広島だ。最も勢いがあると言っていい。日本シリーズを含め、大波乱となるかもしれない。(スポーツライター・飯山満)