今回の動画で高橋氏は、巨人一筋(1998-2015)でプレーした現役時代の中で強く印象に残っているバッティングをテーマにトーク。2003年7月6日・中日戦で放ったサヨナラホームランの裏に井端氏の言葉があったというエピソードとともに、2007年3月30日・横浜(現DeNA)戦で放った“開幕戦初球先頭打者ホームラン”の裏話を語った。
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当時プロ10年目・31歳だった高橋氏は「1番・右翼」でスタメン出場した同戦1回表に、横浜先発・三浦大輔(現DeNA監督)が投じた初球のスライダーを強振。打球は右翼席に飛び込む先頭打者ホームランとなったが、開幕戦での初球先頭打者ホームランはセ・リーグでは史上初、両リーグ通じても1970年の山崎裕之(ロッテ)以来37年ぶりの快挙だった。
同戦に臨むにあたり、初球から積極的にスイングしていくことは決めていたという高橋氏。ただ、「ボテボテ(のゴロ)とか、変なバッティングは嫌だな」という思いもあったため、強い打球を打つ確率を高めようと、あらかじめ三浦が初球に選択する球種を絞っていたという。
三浦はストレート、スライダー、カーブ、フォークの4球種が主な持ち球だったが、高橋氏はまず「開幕戦よーいドンでカーブはないだろう」と、シーズン1球目に緩い変化球であるカーブを選択することはないと予想。続けて、「『(初球から)打ってくるだろう』という想定の元、ストレートもないだろう」と、安易にストレートを投げてくる可能性も考えにくいと読みから外したという。
さらに、フォークについても「ワンバウンドになったらちょっと嫌なんじゃないか」と、ボール球になった場合にその後の配球が組み立てにくくなるリスクを嫌うのではと選択肢から除外。最終的に「一番ストライクが取れて無難なのは、外からのスライダー(ではないか)」、「インコースの投げミスの方が向こう(三浦)は嫌がるんじゃないか、外からの方が無難に思うんじゃないか」と、外角から曲がってくるスライダーを選択するのではという結論に至ったという。
いざ迎えた開幕戦の第1打席では、外から真ん中に曲がってきたスライダーを捉えスタンドにたたき込んだ高橋氏。「そういう根拠を立てた(結果の)ホームラン(だった)。(今でも)自画自賛(のバッティング)」と振り返った。
高橋氏の発言を受け、ネット上には「来た球に無意識に反応した結果だと思ってたけどそんな伏線があったのか」、「そこまで球種を読み切るのは常人離れし過ぎだろ、いざ来た球を1球で仕留めたのも凄いわ」、「シーズン初打席からこれだけ読みが冴えてたんだからその後の暴れっぷりも納得」といった反応が寄せられている。
「高橋氏は前年の2006年は右足首痛、左脇腹肉離れと相次ぐ故障に泣き『.260・15本・51打点』と今ひとつの成績に終わりましたが、迎えた2007年に当時の原辰徳監督は小笠原道大(現日本ハム一軍ヘッド兼打撃コーチ)、李承燁、二岡智宏(現巨人三軍監督)、阿部慎之助(現巨人二軍監督)と強打者を多数擁していることなどを理由に、それまで主軸を務めてきた高橋氏を1番打者に抜擢。当時のファンからは『フル稼働するか怪しい由伸に1番任せて大丈夫なのか』、『変に出塁しようとして打撃を崩すのでは』と開幕前は疑問の声も挙がっていましたが、高橋氏は開幕戦での“一発回答”でファンの不安を払しょくしました。なお、高橋氏はその後のシーズンでプロ野球新記録となる9本の先頭打者ホームランをマーク。シーズン成績も『.308・35本・88打点』と前年を大きく上回り、ベストナインやゴールデングラブ賞にもそれぞれ選出されました」(野球ライター)
2007年以降、パ・リーグでは2021年に楽天・辰己涼介が開幕戦初球先頭打者ホームランを達成したが、セ・リーグでは今季まで該当選手は出ていない。歴史的一発を呼び込んだ読みの鋭さに驚いたファンも多かったようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
井端弘和氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCVhXntGHOpB4vnfkBdN5HlA