去る8月5日午後、巨人がシンシナティ・レッズ傘下のルイビル・バッツ所属のスコット・ハインマン外野手(右投右打)を獲得するとの一報が流れた。しかし、ライバル球団関係者やメディア陣の第一声は「まさか?」だった。
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「巨人が補強を諦めていないとの情報は聞いていました。外国人選手と新たに契約する場合、新型コロナウイルスの関係で就労ビザの手続きができるのかどうか不透明な部分もあり、『補強するとしたら国内トレード』と予想されていました」(球界関係者)
「まさか?」の声が出た理由は、国内トレードという予想に反したからではない。
巨人は外国人選手を獲得する際、ネームバリューやキャリアにこだわる傾向も強かった。
メジャーリーガーとして出場した試合数は3季68試合、キャリアのほとんどをマイナーリーグで過ごした“無名選手”との契約は、これまでの補強とは全く違う。
「巨人の主な外野手と言うと、丸、梶谷、松原、亀井など。右バッターは、石川、陽といったところ。『右打ちの外野手』は補強ポイントでしたが」(前出・同)
ハインマン側からの売り込みもあったようだが、“新体制”も少なからず影響していたようだ。「米国OBスカウト部」だ。
今年6月、米球界に関係を持つOBたちに声を掛け、外国人選手に関する情報提供を求めていくことにした。
その新役職に就いたのは、岡島秀樹、スコット・マシソン、ギャレット・ジョーンズ、ジョージ・アリアス、ケーシー・マギーの5氏。従来の駐米スカウトではカバーできなかったマイナーリーグの若手などの情報提供はもちろんだが、「日本球界に適応できるかどうか」のアドバイスも求められるという。
「米球界の中地区を担当しているのは、アリアス氏とマギー氏。今回のハインマン獲得にあたって、彼らもサポートしたようですね」(前出・同)
ハインマンがレンジャーズに在籍した2019年から20年の話だが、外野守備範囲の広さではメジャーでもトップレベルにあり、打球に追いつく速さ、捕球から送球までの俊敏さ、スローイングの正確さでクリス・ウッドワード監督を唸らせていたという。
「でも、バッティングはマイナー。マーリンズ、SFジャイアンツの控え捕手だったタイラー・ハインマン(現マイナー)の弟ですよ」(米国人ライター)
打撃に関しては不安要素が残る。だが、外野守備センスの高さは、当然、原辰徳監督にも伝わっているはず。OBスカウト部のお手並み拝見といったところだが、本当に日本球界向きの選手だった場合、「左翼・丸、中堅・ハインマン」のコンバートも見られるかもしれない。(スポーツライター・飯山満)