都議選は、来たる衆議院議員選挙の前哨戦とも言われる。それだけに自民党への逆風も影響したとは言え、今回の勝利はやはり小池氏の存在も大きいと言える。小池氏は過労を理由に入院していたが6月30日に退院。その後はテレワークで業務をこなしていたが、選挙戦最終日の7月3日に都民ファ会候補の応援演説に立った。この動きが、不利とされた方に同情票が集まるアンダードッグ効果を生み出したのではないかと言われている。
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元宮崎県知事、元衆議院議員で政治評論家、タレントの東国原英夫氏は7月5日のツイッターで「特に『都ファ』は予想を遥かに超えていた。確かに、小池都知事の入院辺りから都ファの支持率が徐々に上がり始めたのは事実」と評価。どこまで戦略的だったかは定かではないが、小池氏の計算が働いたのは事実だろう。
小池氏は、これまでもこうした人の心を掴む動きを見せてきた。
2016年に衆議院議員を辞職し、東京都知事選挙に出馬した際には、自民党は増田寛也氏を推薦していたため、党を飛び出す形となった。当初は不利な戦いが予想されるも、女性票の取り込みに成功し、史上初の女性都知事となった。前の都知事が舛添要一氏であったため、彼の持つマッチョイズムなイメージを排し、ギャップをうまく活かしたと言えるだろう。さらに、2020年にオリンピックを控えていたため、自民党との関係も決定的に悪化することはなかった。小池氏はここまで織り込み済みだったとも言える。
都知事就任から1年後の2017年には、衆議院議員選挙へ向けて「都民ファーストの会」を発展させる形で「希望の党」を立ち上げる。同党には民進党(当時)の一部議員のほか野党議員が結集し、当初は政権交代の可能性も取り沙汰された。さらに、自民党のリベラル派議員との連携も模索。この動きに、自民党の石破茂氏は「なめたら大変なことになる。怖いとかそういうもんじゃない。小池百合子という人を侮ったら大変な目に遭う」としたたかさを評している。最終的に小池氏自身の出馬はなかったが、現実的な政権交代の可能性に対して、選挙民に希望を抱かせたのは、小池氏の手腕のなせる技だと言えるだろう。
これからも、小池氏は「人の心を掴む」したたかな戦略を見せて行きそうだ。
記事内の引用について
東国原英夫氏のツイッターより https://twitter.com/higashi_kokuba