もともと西野は、こうした「掻き回しキャラ」だったとも言える。彼に対して、複雑な感情を抱いてきたのが同期芸人たちだ。
キングコングは吉本興業の芸人養成所であるNSC大阪校の22期生出身。同期には、南海キャンディーズの山里亮太、とろサーモンの久保田かずのぶ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔、ピン芸人の中山功太やネゴシックスらがいる。現在では、各人がそれなりのポジションを獲得したと言えるが、当初は完全にキングコングとその他の扱いだった。
NSCの卒業ライブでは、人気や実力に応じて出演時間が配分される。山里は最長の5分を得るものの、キングコングは「5分ネタ」に加え、MCまで務めていたというから、露骨な扱いの差がわかる。村本の出演時間は、わずか30秒だった。
2000年にキングコングがNSC在学中ながら、「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞を受賞すると、その授賞式の映像だけを観る授業が存在したという。講師としては、芸人の卵たちを焚きつける目的もあったのかもしれないが、山里はラジオ番組で「いまだに許せない」と怒りを露わにしていた。
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ただ、山里はテレビ番組で「キングコングへの嫉妬」が芸人としての原動力であったと語っている。東京のNSCで同期に当たる平成ノブシコブシの吉村崇も、ネット番組で「(キングコングがいるので)他の芸人は売れないって言われていた。あんたらいらないよって言われていた世代」と自身の立場を振り返り、その分ハングリー精神が湧いたと振り返っていた。誰もが同じような気持ちをキングコングに抱いていたのだろう。
さらに、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、「ギスギスしてるけどキングコング同期芸人」(14年)、「激動の同期芸人」(18年)と2度に渡って特集が組まれた。この期の芸人たちはキングコングというスーパースターがいたせいで、同期同士の絆が生じて仲良くならず、関係性はむしろ「ギスギス」しているのだという。その原因を作った人物こそ、ビッグマウスで知られる西野だったようだ。
14年の回では、スタジオに来られなかったとろサーモン久保田、中山、ネゴシックスの3人が「やさぐれ同期座談会」を行い、西野の著作の中身を一切褒めずに装丁を褒めるといったボケトークも展開した。
あれこれと言われているものの、キングコングが実力を十分に備えたコンビだったのは確かだろう。西野退社でも解散を明言しなかった彼らが、どのような活躍を見せるかにも注目だ。