近年、中田は活動の場をテレビからYouTubeへと移し、オリラジとしての共演はほとんどない。それでもコンビで臨んだ記者会見で、藤森は半月ほど悩み、「相方と一緒にいた方が楽しそうと思い決断した」と話している。中田はYouTubeチャンネルを「勝てる場所」と考えており、そこに乗っかる藤森はビジネスパートナーのようにも見えるが、根っこの部分にはコンビ愛や絆があるのは間違いない。
そもそも二人はどのように出会ったのか。その様子は中田が記した半自伝的小説『芸人前夜』(ヨシモトブックス)に詳しい。お笑い芸人をめざし相方を探していた中田に対し、バイト先で出会った藤森はただのチャラい大学生だった。中田が抱いた派手な格好をした藤森の第一印象は「若い石油王」だった。
2人は友人関係となるが、中田が芸人になりたがっていることを知り、コンビ結成を持ちかけたのは藤森の方だった。「俺に人生賭けんのか?」と問う中田に、藤森が頷く様子が小説に記されている。今回の決断も、この「賭け」の続きなのかもしれない。
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晴れてコンビを結成となったオリラジは、バイトで金を貯め、吉本興業の芸人養成所のNSCに揃って入学。ネタのストックも十分にあり、スクール内ではそこそこの知名度を得るが、今一つ突き抜けられない。ネタ選びに困った中田は、選択を藤森に委ねる。そこで彼が選んだのが「捨てネタ」だったが、それが大ブレークを果たす「武勇伝」に繋がるきっかけとなる。
そして「武勇伝バブル」が弾けた後の、人気の落ち込みから再浮上するきっかけとなったのが、藤森の素の部分を活かした「チャラ男」キャラだったのもよく知られている。
コンビ結成、コンビの運命を決定づけたネタ選び、再ブレークのきっかけのすべてに、藤森の存在があるのだ。冷静沈着で理論家の中田に対し、鋭い「野生の勘」を持つ藤森のセンスが合わさったものがオリラジなのかもしれない。絶妙なバランスを保ちながら、コンビはさらなる飛躍を見せて行きそうだ。