かつて三木のり平と京塚昌子がタッグを組み人気を博した、1979年初演の『与太郎めおと旅』をベースとした本作は、渡辺と八嶋のダブル主演で二人の珍道中を描くドタバタ喜劇。渡辺は大商人の箱入り娘・お染役を演じるが、「生まれて初めて振袖を着ました。今年66歳。20歳から25歳からまでを全編通して演じています。ぜひ見ていただきたいです」と呼びかける。
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「娘役はやったことがない」と話し、「小学校の時から学芸会でも太っていて声も低かったから、お母さん役、おばあさん役ばかり。それが歳を取ったら娘役っていう……」と照れ笑い。かつて蜷川幸雄の舞台『ロミオとジュリエット』にオファーをもらった時のことを振り返りつつ、「オファーをもらったんですけど、あの時もジュリエットの役だと思ったら乳母の役で。蜷川さんに乳母の役どうって言われて、え?ジュリエットじゃないんですかって。本当の話ですよ」と娘役に縁がなかったことを笑いを交えて紹介した。
コロナ禍の舞台となることについては「どうぞいらしてくださいと声を大にしては言えない辛さがある」と述べ、「こういう時期は(みんな)精神的に落ち込む時期。精神面を支えたいという気持ちがある。ここで踊ったり、笑ったりで精神面も豊かになり、免疫も上がってもらえたら嬉しい。わたしたちもこんな中、表現できることをありがたいと思いながらやっています」と話した。
西岡は本舞台で娘の優妃と舞台初共演。娘のことが「自分のことより気になる」と述べ、「ついつい見て観察して、うちに帰ってダメ出ししてしまう。娘も真面目でね。毎日緊張しているみたいです。ビビってる。俺はやりにくいですよ。でも、こんなの一生に一度かなって、記念になるように頑張っています」とにっこり。
「(娘が)渡辺えりさんの真似を時々している、これがよく似ているんだよ」と娘の話になると頰が緩みっぱなしで、「芝居においてはアドバイスを色々しています。芝居を良くするには越したことがないので、アドバイスは娘に関わらずするようにしています」と話すと、渡辺も「微笑ましくて羨ましいです。ニコニコとずっとお嬢様を見ていらっしゃる。親子で(芝居が)できるのは羨ましいです」と話していた。
(取材・文:名鹿祥史)