そうした中で、意外な存在感を発揮した人物が東野幸治だ。東野と言えば、「カメラが回っていないところでは寡黙で感情を持ち合わせていない」「ペットの亀が死んだら燃えるゴミに出した」といったサイコパスで冷たい人間性が度々クローズアップされてきた。だが、コロナ自粛下で見せたのは真逆の姿であった。
東野は5月5日から同7日の3日間に、1日4時間ずつ合計12時間の生配信番組『吉本芸人生存確認テレフォン』を音声のみで放送。芸人たちに直撃電話を掛けて生存を確認した。そのラインナップは、村上ショージ、ジミー大西、南海キャンディーズ山里亮太、EXIT兼近大樹、霜降り明星せいやなど、ベテランから若手まで総勢44名に及ぶ豪華なもの。6日放送には、盟友の今田耕司にも電話を掛けた。今田は、深夜ラジオ番組の問題発言を受け炎上した、ナインティナイン岡村隆史の近況を「猛反省している」と伝えた。
この番組は、吉本芸人の中でも東野が適役であり、彼しかできなかったと言えるだろう。後輩には「良い兄貴分」として、先輩には「謙虚な後輩」として、申し分ない存在感を発揮した。
「東野は、有吉弘行から『二軍のボス』と言い得て妙な毒舌あだ名を付けられていますね。若手というわけでもなく、かといって大物でもない、絶妙な中堅ポジションを獲得しています。そのため、不景気になると『ギャラがかさむが、大物のように切りにくい存在ではない』ため、真っ先に仕事を失うと言われてきました。実際に、2001年ごろの長引くデフレ不況時に、レギュラー8本を失ったことがあるとか……」(芸能関係者)
ともすれば今後、到来しそうなコロナ不況でも、東野のポジションが気になるところだ。ただ、今回の「生存確認テレフォン」では、ネットを駆使しフットワークの軽さを示しただけに、今後もしぶとく生き残りそうだ。