問題となったのは、7日に放送された、ベルギーから帰国し現在は日本で非常勤として勤務する澁谷泰介医師のインタビュー。新型コロナウイルスのPCR検査について、「大至急増やすべきだ」という論調で取り上げた。
これについて、取材を受けた医師が、自身のFacebookで「主張が完全にカットされた」「PCR検査を大至急増やすべきだ!というメッセージの一部として僕の映像が編集され真逆の意見として見えるよう放送された」などと内容に異議を唱え、批判の声が広がっていた。
12日の放送では、MCの坪井直樹アナウンサーが「同じVTRの中で別の学者の主張もお伝えしたことで、結果として、澁谷医師も『PCR検査をただちに増やすべきだ』という、そういう主張をしている印象となりました」と説明。その後改めて、編集をされない形で医師のインタビューが放送された。
坪井アナは「医療現場では『ただひたすら』PCR検査の数を増やすのは医療の崩壊、医療の逼迫に繋がる恐れがあるので、その辺については望まないとおっしゃってるんですね」とコメントし、「私達はこの医療現場の声の部分を放送に繋げる、その受け止めを疎かにしていた部分がありました。この辺については大変お詫びいたします」と頭を下げる。
そして、インタビューを受けた医師からのコメントを紹介した後、「私たちも今後、より丁寧に放送に努めてまいります」とし、再度頭を下げた。
この放送について、ネット上では批判が目立つ。一応の謝罪をしたことを評価する声もあったが、「何を謝罪しているのかわからない」「恣意的な編集したことを認めず、『結果としてそうなった』としている。ずるい」と指摘するネットユーザーが相次いだのだ。
上智大学教授で元『NNNドキュメント』ディレクターの水島宏明氏は、「なぜ恣意的な編集をしたのか、検証が一切ない」と指摘。さらに、「番組制作の責任者が出ず、当事者とは思えない。坪井アナだけが出演している」「再発防止策が示されていない」「反省の言葉が一切ない」と問題点をヤフーニュース内で厳しく追及した。
今回はインタビューを受けた医師が勇気を持って「声を上げた」こと、そしてネットユーザーによって拡散されたことで、謝罪せざるを得なくなったが、仮に医師が「泣き寝入り」してしまっていた場合、そのままになっていた可能性が高い。
医師の声を番組製作者の主張を強めるため、利用したと取られかねない今回の事態。一部ネットユーザーの間では「謝罪になっていない」「ありきたりな謝罪で終わらせていいのか」「打ち切り案件ではないのか」と批判の声が強まっている。
文 神代恭介
記事の引用について
水島宏明氏「テレ朝『グッド!モーニング』が医師コメント で“訂正放送”。「大変おわび」でも検証も反省もなし!」
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200512-00178057/