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“裸”のリベンジポルノ流出事件史

 今世紀に入ってから、ネット経由での画像流出事件は爆発的に増えた。

 恥ずかしい画像を公開された被害者の心情は、いかばかりか…。

 だが、刻まれてしまった事実は事実として受け止め、ネット上から消せるかどうかをこれからのテーマにしていくしかないだろう。ネット時代の「忘れられる権利」は世界的な課題となっている。「忘れられる権利」とは、ネット上に残された過去のプライベート情報を消す権利のことである。

 流出事件のきっかけは主に、2種類ある。
(1)何らかの手段でプライベート画像を手に入れた人物が、故意にネットへ放流したケース
(2)ファイル共有ソフトがウイルス感染するなどして、本人およびファイル所有者の知らぬところで流出してしまったケース

 今までの数としては(2)のケースが多い。「うっかり」ではあるが、過失責任は免れないという指摘もされている。もちろん悪質性で言うなら、故意である(1)のほうが断然上回るだろう。

 故意による流出は、「リベンジポルノ防止法(2014年施行)」によって、処罰されることになった。

 ちなみにこの法律では、画像を複製し、ネット上に拡散した者も処罰される可能性がある。リベンジポルノ防止法の第三条では「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」となっている。しかし、これはいわゆる「親告罪」であり、被害者が訴えなければ逮捕されることはない。

 もちろん親告罪だからといって、誰かのプライベート画像を拡散することが許されるわけではないだろう。Web上では、流出画像を大量に収集して公開することでアクセス稼ぎをしている人物もいる。被害者にとっては腹立たしいことだろうが、著作権や肖像権を訴えづらい画像を勝手に商品化しているゲスなサイト管理者が、ネット上にいることは事実なのだ。

 ハメ撮りなどプライベート画像の流出被害に遭わないために、ちょっとした予防策3箇条を挙げておく。(1)撮らないこと(男性側)。撮るならUSBメモリなど外部メディアに保管し、パソコン内やWeb上、クラウド上には保管しない。(2)撮らせないこと(女性側)。(3)SNSで個人情報(本名など)を垂れ流さないこと。そうすれば仮に流出しても、個人を特定される可能性が低くなる。

 プライベート画像の撮影が好きな人は、この3箇条を肝に銘じていただきたい。

◎「学習塾女講師のハメ撮り・口元射精」2001年
 不登校児を対象とした学習塾のサイトが改ざんされ、わいせつ画像が掲載された。トップページには、女性の股間アップが無修正で表示されていた。改ざんした犯人の男はほどなくして逮捕。以前、この学習塾で働いていた講師だった。同僚だった女性講師の部屋に忍び込んでビデオを盗み出し、それらの画像を改ざんに利用したという。女性講師の画像は、全裸のみならずハメ撮りまであった。男は塾の退職金不払いがあったため、犯行に及んだと主張した。

◎「デパートガールのバイブ挿入」2003年
03年あたりから、ファイル共有ソフト「Winny」のウイルス感染による流出が爆発的に増えた。違法にアップロードされた音楽や動画、画像を手に入れようと考える輩は今も尽きないが、03年当時はそれを規制する法律さえなかったのである。この事件は交際相手と思しき人物から流出。有名なデパートに勤務していた女性であったことまでバレてしまった。Winnyのウイルスに感染すると、パソコン内のすべてが覗かれてしまうのだ。

◎「京都の美人OLが性生活を暴露される」2003年
 Winnyからの流出で本名を特定され、出身大学や勤務するメーカー名までもがさらされた美人OL。画像はフェラ、口内発射、ご開帳、バイブ、挿入までフルコースだった。その美しい容貌と相まって、ネット上では「流出の女王」とまで称されていたが、流出させたのは元カレだという説と、不倫相手だったという説がある。女性は流出させた人物を相手に裁判を起こしたという噂も出ているが、真偽のほどは定かでない。

◎「ヤリチン税務署署員が女食いまくり」2005年
 国税局勤務の若い男性のパソコンが暴露ウイルスに感染し、プライベートのセックス画像が流出。複数の女性たちとの関係が画像として保存されており、単なるハメ撮りのみならずSM的なプレイに興じる姿までもが暴露される結果となった。さすが国税局職員だけあって画像は丁寧にフォルダ分けしてあり、その内容から出身大学や勤務先などがバレてしまった。

◎「私立大附属高校出身女性の処女膜画像?」2005年
 都内の私立大学付属高校出身と思しき女性のパソコンが暴露ウイルスに感染し、50枚を超えるプライベート画像が流出した。フェラをしている画像のほかに局部アップもあり、そこに処女膜らしきヒダが写っているとネット上で騒ぎになった。女性は一緒に写っている男性のことを「師匠」と呼んでいたらしい。また、二人による楽しそうなデート画像もあった。個人を特定されたのは、高校時代の画像なども含まれていたためだ。

◎30代奥様の遠距離不倫ハメ撮り」2005年
 ネット時代に入り、遠距離不倫は爆発的に増えた。本来なら出会うことのない遠距離の男女が、ネットを通じて知りあうケースは今も多い。暴露ウイルスはそんな男女にも容赦なく襲いかかる。東京在住主婦のパソコンが暴露ウイルスにやられ、遠距離不倫関係が白日の下にさらされてしまった。悪意あるネットユーザーは即座に本名など個人情報を解析し、婉曲な表現で公開した。ハメ撮りをされている奥様が、どこの誰なのかをバラしてしまったのである。

◎ソプラノ歌手が全裸ブリッジ」2006年
ソプラノ歌手として活動していた美女のプライベート画像が流出。ウイルス感染による過失が原因という説と、意図的に誰かが流出させたという説が交錯した。また、早々に本人のウェブサイトが閉鎖されたことで、逆に流出画像の信憑性が高まってしまった。画像は開脚ポーズのほか、ベッド上でブリッジをしている姿もある。柔軟な体だからこそ高音の美声が出るということなのだろうか。

◎「秘書はハメ撮りがお好き」2006年
 自治体首長の秘書や衆議院議員秘書などを務めた男性のハメ撮り画像が流出。相手の女性は2名いたと思われ、肉感的な女性の全裸や多数のフェラ画像がネット上にさらされた。生き馬の目を抜く政治の世界では、こうしたスキャンダルが致命傷となるため、流出の醜態を追及するクレームメールが殺到。夕刊紙の記者が秘書本人を直撃すると、流出の事実を認めたという。

◎「アイドル顔女性の恥じらいM字開脚」2007年
ネットにおけるわいせつ画像流出で、最も有名だとも言える「ケツ毛バーガー事件」。これは、Shareのウイルス感染が原因だった。大手メーカーに勤務する男性のパソコン内が丸見えになり、その彼女と思しき女性の痴態も同時に丸見えとなった。特に有名になったのが、ほろ酔い気味で赤らんだ表情を浮かべながらM字開脚している画像。そのアイドルなみのルックスに反して股間は毛深く、そこから「ケツ毛バーガー」という呼称がついた。この女性の氏名や出身校、勤務先までもがバラされる結果になったのには、大きな背景がある。それは04年からサービスを開始したSNS「mixi」の存在だ。現在では「Facebook」のほうがメジャーであるが、当時はmixiが先行してユーザー数を増やしていた。実名登録を強く推奨したmixiの方針通りに、女性が個人情報を載せていたため、悪意あるネットユーザーが面白がって照合し、個人情報を突き止めてしまったのである。

◎「AV監督を意識した?ハメ撮り動画」2007年
 数多くのハメ撮り動画がWinnyへの感染ウイルス経由で流出。こちらもケツ毛バーガー事件同様、mixiによって個人情報が特定されてしまう。動画を保存していたのは大手部品メーカー社員の男性だった。愛らしい笑顔の女性によるバイブオナニー、フェラ、顔射、ハメ撮りなどを含む動画は1ギガバイトにも達し、撮影した男性はまるでAV監督のようだと称された。

◎「鹿児島県議員が体位のフルコース」2007年
 鹿児島県の職員として堅実な人生を歩んでいた男性のパソコンから、ハメ撮り動画が流出。女性とさまざまな体位で楽しんでいる姿を撮影していたことはさておき、公務につく者の情報管理の甘さがネット上でも糾弾され、ついに県が調査に乗り出した。県は事実関係を確認したあと、減給2カ月という処分を下す結果となった。職務にまつわる情報も一部漏洩していたからである。個人で楽しむハメ撮り動画を保存する趣味はとがめるべきではないが、情報管理は徹底すべきだろう。ちなみにこの男性は釣りが趣味で、エビの画像も保存していたため、「えびちゃん」というありがたくないあだ名をネットユーザーからつけられることにもなった。

◎「女子高生の下着姿画像は嫌がらせ放流か」2010年
 ファイル共有ソフトの普及に伴い03〜07年あたりに爆発的に増えた流出事件だったが、さすがに周知されていったんは沈静化する。しかし、そんな中でも事件は起きた。10年の1月末、女子高生の下着画像などが流出。援交時の画像ではないかと推測されたが、真偽は定かでない。わざわざ個人を特定できる情報も含まれていたため、誰かの嫌がらせ放流という説が濃厚で、流出後、女子高生はモバゲに「もう死にたい」と絶望的な心情を綴っていた。

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