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阪神、優勝のカギが藤浪次第なワケ 五輪開催による変則日程、10年で6度の“失敗”は回避できるのか

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藤浪晋太郎

 この「26日間の中断」がプラスに転じる可能性もある。いくつかの条件をクリアできたらの話だが…。阪神・矢野燿大監督が関西圏のテレビ番組に出演し、2020年ペナントレースの展望を語った。「藤浪の復活はあるのか」、「8人の外国人選手をどう使いこなすのか」などの質問に答えていたが、興味深い発言もあった。東京五輪期間中の過ごし方についてだ。

 「実戦感覚を失わないようにするのが…」

 プロ野球ペナントレースは東京五輪の開催期間前後の7月19日から8月13日までの間、中断される。この中断が明暗を分けると見る関係者は少なくない。

 矢野監督は「ペナントレースを2つに分けて、(中断を挟んで)前期と後期があるみたいに考えれば」とも語っていた。そして、実戦感覚を喪失させないため、他球団と練習試合も行っていくとも話していた。

 「確かに、球団同士でそういうスケジュールの調整を行っていることは聞かされています。現時点では、興行ではないので、ファンにスタンド席を開放することはできませんが」(NPB関係者)

 阪神が予定している練習試合数は9試合。もっと増えるかもしれないという。関係者によれば、阪神はオリックス、そして、埼玉西武やソフトバンクなどとも交渉をしているそうだ。

 この「オリックス以外の球団との交渉」が、プラスに転じるか否かを決めるのではないだろうか。

「高校野球ですよ。夏の甲子園大会は8月10日から25日の予定で開催されます。阪神が練習試合を行うとしても、甲子園球場は例年通り、高校生に明け渡さなければなりません。他球団は一軍本拠地の球場と二軍施設に分けて、練習試合や調整のための練習を行いますが、二軍施設は二軍選手に使わせないと…。つまり、本拠地・甲子園球場を使えない阪神だけは他球団と事情が異なります。対外試合は『遠征』となりそう」(前出・同)

 ほっともっとフィールド神戸を確保したそうだが、練習試合で遠征となれば、選手を無駄に疲れさせてしまう危険性もある。

 しかし、「中断がプラスに転じる」と見るプロ野球解説者もいた。

「近年、阪神は後半戦で勝率を落とし、終盤戦で順位も落としていました。過去10年を遡って見てみると、8月以降、6季も負け越しを喫しています。五輪による中断は、ペナントレースの流れを変えます。8月以降に弱い阪神が休みを挟んで再スタートを切るのはプラスに転じるはず」

 後半戦に失速する敗因は、ベテラン選手が多いからだ。「中断=ベテラン選手の休息」と捉えれば、12球団トップのチーム防御率を誇るトラ投手陣が“夏バテ”することはない。

 気になるのは、天候だ。ドーム球場を本拠地としない阪神は8月下旬から9月の台風シーズンの影響をもろに受け、連戦となることも多い。後半戦の勝率の悪さはベテラン選手の多さというよりも、連戦による息切れと見るべきであり、「中断」で過密スケジュールとなっている上に、雨天予備日に全て試合が組み込まれるようなことになれば、「休むという恩恵」はゼロになる。

「過密スケジュールはセ・リーグの他の球団も気にしています。長いイニングを託せる先発投手が出現するか、圧倒的な力を持つリリーバーが出現すればいいんですが」(ベテラン記者)

 藤浪が後半戦以降、戦力になってくれたら、優勝も夢ではない。矢野監督はほかにも関西圏の番組に出ていた。藤浪について何度も同じ質問をされていたが、「いい表情で野球に向き合ってくれれば」と答えていた。藤浪が変則日程の2020年のキーマンとは、皮肉な限りだ。
(スポーツライター・飯山満)

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