2019年10月に発覚した「タピオカ恫喝事件」以降、芸能活動を自粛し大みそかには元夫・FUJIWARAの藤本敏史と離婚するなど、ここ最近世間を騒がせてきた木下の極め付けの不倫ネタとあって、注目の話題となるのもそう無理はない。
芸能人の不倫騒動といえば、世間のゴシップ情報として話題を集めやすい傾向がある。自分には直接関係のないことなのに、なぜこうも盛り上がるのだろうか。
まず前提として、不倫とは、婚姻関係にある相手を裏切る非道徳的な行為であり、違法性のある「悪い行い」であるという社会通念がある。
「悪い行いをする人」を叩くことは「正義」として、自分が悪口を言うことの免罪符となり、罪悪感を抑えることができる。それと同時に、自分が真っ当な倫理的価値感を持っていることのアピールにもつながる。こういった「自己顕示欲」は誰もが持っており、誰にでも見られる心理的メカニズムの一つでもある。
また、知名度が高く、別世界の人間のように思えていた芸能人の社会的信用や人間としての価値が落ちていく様子を実感することで、出るくいを打ったような達成感や、安心感を得るといった心理が働いていることもある。このような場合は、本人の劣等感との強い関係性がうかがえる。
不倫の情報は、定かでないものほど世間の探究心や好奇心をくすぐり、想像が膨らんで盛り上がりを見せるものである。特に女性のゴシップ好きは世界的にも有名で、日本でも奥様の井戸端会議やランチ会、女子会などで噂話に花を咲かせることが知られている。
「進化心理学」において、女性の噂話は、人類が狩猟生活を行っていた時代からあったという見方がある。集落で多くの時間を過ごす女性にとって、家事・育児の知識や社会的倫理観の共有、物事の価値判断など、生きるための重要な情報源になっていたようだ。
また、イタリアのパヴィア大学脳行動科学研究科精神医学部門の研究者3人が2017年に発表した「噂話が女性のホルモン分泌に与える影響」に関する共著論文によると、“女性の脳が噂話をした後にオキシトシンをより多く放出していることが判明した”という。
オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、性交中、もしくは信頼する相手とのスキンシップなどの際に放出されるホルモン物質である。
つまり、噂話をすると、話し相手との親和性が高まり、結束感が生まれやすくなるほか、愛情を受けた時の恍惚感のようなものが得られたり、それによってストレスが緩和するといった良い効果も期待できるということになる。
とはいえ近年はSNSが発達し、個人情報に関わる根拠のない噂話から、社会的信用に関わる誤情報が拡散するリスクもある。噂話を発信する側だとしても目にする側だとしても、くれぐれも注意が必要である。
記事内の引用について
『Gossiping is GOOD for you:Talking about others releases the 'love hormone' and helps friends feel closer』MailOnlineより
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4128882/Why-gossiping-GOOD-you.html#ixzz4X0HWGWSe
文:心理カウンセラー 吉田明日香