次の代表選は国会議員51人、地方議員320人、党員約9000人が、それぞれ1票を持ち投票される予定だった。そこには、告示から投開票まで大キャンペーンを張り全国的に盛り上げることで、11月22日投開票の大阪府知事、大阪市長選挙のダブル選挙でも有利につなげたい思惑もあったという。
「実は、橋下氏が維新の党の大阪系国会議員に『僕と松井知事が離党しても、離党しないように』とメール送信したのは、代表選挙で勝利の目算があったから。というのも、国会議員は橋下大阪系が10数人、それに対し松野・江田連合派は40人近くで、国会だけでは勝ち目はない。ところが地方議員と党員となると、地方議員が320人中200人、党員もそれに比例して7割は橋下大阪系。つまり、今度の代表選挙は橋下系が勝利する可能性が強かったのです」(全国紙野党担当記者)
ならばなぜ、わざわざ国政政党『大阪維新』を結成する必要があったのか。
別の維新関係者が言う。
「そこが橋下氏の喧嘩上手な政治家として、実に巧みなところです。仮に代表を奪っても、勢力的に非大阪系が強い流れは変わらない。だから、非大阪系のなびき方を見つつ、カリスマリーダー2人が抜けて今の維新のイメージを弱くし、国政新党設立をブチ上げ話題をさらうことで、さらに維新の議員を大阪系になびかせる。すでに今回の柿沢氏のミスで、非大阪系でも片山虎之助参院会長や下地幹郎財務局長らも公然と柿沢批判をし、空気が微妙に変わっていますからね」
8月29日、大阪系の議員に向け、維新の党の代表選が告示される10月1日に新党結成の表明をぶつけ、同20日頃まで参加議員を募る考えを示したとされる橋下氏。この“踏み絵”も、すでに維新の党議員のなびき具合を読んだ自信の表れというわけだ。
さらに続く今後の第三段は、大阪府知事選、大阪市長選でのシナリオだ。
「府知事選には松井氏を擁立、市長選には元大阪市議出身で弁護士の吉村洋文衆院議員を擁立する方向で調整している。さらに、橋下氏らは府知事、市長選ともども再び『大阪都構想』を公約に掲げる。国政政党『大阪維新』を掲げるのは、東京や神奈川などから、元みんなの党や結の党関係者が入党して原点がボヤケたものを、再度“大阪のために頑張る”と明確にさせ、ダブル選挙を盛り上げていきたい考えからでしょう。自民党では大阪市議団の柳本顕幹事長を市長候補者として擁立すると見られますが、そこは6月の安倍・菅両氏との会談で『いずれ連立を組むのだからお好きなように』とお墨付きを得ていると聞いています。その証拠に、松井氏は離党直前の8月25日夜、急きょ上京し、懇意の菅官房長官と会談。最後のシナリオの打ち合わせをしたと見られていますからね」(大阪市議会維新関係者)
そして第四段は、橋下氏の国政出馬だ。政界関係者はこう断言する。
「安倍首相との6月の会談で橋下氏は、国政への出馬を要請されている。対し橋下氏は、“大阪市長選、府知事選を勝った上で”と言葉を濁したが、否定はしなかったといいます。つまり、新党が立ち上がり橋下氏が代表となれば、再度、橋下旋風が巻き上がり大阪を制する。その勢いで来年夏の参院選で橋下氏が出馬すれば、橋下新党は大量得票、大量議席獲得となる」