そんななか、8/9の出走確定の抽選も済まぬ1週前の時点でアグネススターチの大根田調教師は「“勝てるんちゃうの”とオレは思ってるんや」。記者も言いたかった同じ言葉を耳元でささやいたのだ。ちなみに同師は記者と栗東中学からの無二の親友。この不思議なデジャヴ感は4年前、カルストンライトオでスプリンターズSを制し、GIトレーナーの仲間入りを果たしたあの時とまったく同じだ。
もっとも、親しければ親しいほど、かしこまったやり取りは気恥ずかしくてできないもの。
「兵庫特別を勝った直後、赤木が馬上から『ディープスカイがいない菊なら十分に勝ち負けできますよ』と言ってくれたんや。それに、春とはストライドの伸びやかさが全然違うわ」
もうこの言葉だけで十分すぎるほどだが、さらに記者の意を強くさせてくれたのが調教役の吉永助手。「不器用じゃなくて、体が柔らかく器用すぎるから、手前をかえずに走り切れる。4走前、川田騎手が『この馬、手前をかえられるようになったらすごい馬になりますよ』と言ってくれたんだが、前走はうまく手前をかえてくれたし、道中、バランスよく走っている分、終いのひと踏ん張りが利いた」と成長著しいことを強調。「三千の菊花賞は後ろで折り合いに専念しなくちゃならない馬より、気分良く先行できる馬の方が有利なのは、ウチの父(故吉永猛調教師)の管理馬だったタマモハイウェイ(5着)で分かっているからね。放牧からガレて帰ってきたので、ボクが先生に『TRは回避して下さい』と頼んだんだけど、今、この素晴らしい状態にあるのは、使い出しを遅らせる決断をして下さったテキのおかげです」の説得力あふれるコメントで“大勝負”の腹は据わった。
史上空前の乱菊を制するはデビュー以来、最高の状態に仕上がったわが友の管理馬アグネススターチだ!!