ダート界に怪物誕生の予感だ。前走の麒麟山特別では初の古馬相手に8馬身差の圧勝を飾ったトランセンド。しかも、ダ1800メートル1分49秒5の走破タイムは従来の記録を0秒2縮めるレコードVだった。
「レース前は古馬相手でどこまでやれるか、手探りだったけど、終わってみればあの結果。時計も、翌週のオープン特別の関越Sより0秒7も速かったんだから、評価できるよ。正直、ビックリ」と安田調教師も愛馬の強さに驚きの表情だ。
母シネマスコープは1996〜98年まで安田厩舎に在籍し、5勝をマーク。兄弟も通算5勝を挙げたメーンエベンターを筆頭に、大半が同厩舎の所属馬だった。
「最初はそれほど走るとは思っていなかった。相当、ダート適性が高かったんだろうね。ウチの厩舎とも深いつながりの血統なので、僕自身も力が入るよ」と安田師。
これまでダート戦に限れば3戦3勝と土付かず。先行力があり、かつ直線で抜群の末脚を発揮するタイプで、死角はほとんど見当たらない。
「この中間も具合はいいからね。あとは前走分だけ走ってくれればいい。そうすれば結果はついてくる」
ここで勝ってまずは3歳の頂点へ。遅れてきた大物の進撃がいよいよ始まる。
【最終追いVTR】坂路で単走で追われ、800メートル55秒5→39秒9→12秒2(強め)。道中は折り合いもピタリとつき、終いの伸びも上々。馬体にも張りがあり、レコード駆けした反動は感じられない。