笹崎さんは日テレに提出した自己紹介カードに「母の知り合いが経営する銀座のミニクラブで働いていた」ことを書いていなかった。これを日テレが問題にし、「傷がついているアナウンサーを使える番組はない」、「アナウンサーに求められる清廉性にふさわしくない」ということが、内定取消の理由だった。笹崎さんはこれを不服とし、日テレを訴えた。読者モデルとしてファッション誌『JJ』などでも活躍していた彼女にしてみれば青天の霹靂だったであろう。
日テレの大久保社長は「裁判の場に移っていますので、経過を見て対応します」と発言。だが、民事訴訟担当の弁護士などの話では「日テレ側に分が悪い事にはなりそう」という見解が多い。しかし、裁判で勝利して入社できたとして、笹崎さんに楽しい職場が待っているとは思えない。裁判沙汰の末に入社などという前代未聞のこじれた就職は、双方のためにならない。入社した彼女に局が普通に仕事を与えるとは思えないからだ。
「大学時代に男性関係が派手だったというアナウンサーもいっぱい知っている。実際に当時の彼とスキャンダルになりそうになったアナウンサーもいた。俺たちは話題になって面白いから使いたいが、上層部が使わせてくれないでしょうね」(日テレ番組スタッフ)
フジテレビの亀山千広社長は「日テレを批判するわけではないが」と前置きした上で「(フジテレビなら)内定を出した以上、採用すると思う。ホステスをやっていたと週刊誌で書かれたときに、僕らがちゃんと守り切れるのであれば何の問題もない」「清廉性が必要かどうかは視聴者に委ねたい」と発言した。
フジテレビの考え方は世間に受け入れられるであろう対応方法だ。しかし、ホステスという言葉と職業に、笹崎さん自身にも偏見や誤解があったのではないだろうか。自己申告カードに「アルバイト銀座ホステス経験」と書かなかったところに笹崎さんの拘りがあったように感じる。
最終的にどんな判断が下されるかはまだ分からない。だが、ホステスを経験して多くの人に出会った彼女の経験談が、アナウンサーという仕事に生かされる日は来るのだろうか。