というのもこのセイバー、今までにフィギュアとして立体化された製品の多くがプレミアが付くほどの人気キャラクターで、グッドスマイルカンパニーが発売している“ねんどろいど”などのデフォルメフィギュアでもかなりの人気がある。今回のコトブキヤ製キットは同じコンセプトで作られた他のキットの完成度から見て、完成品のデフォルメフィギュアに匹敵するクオリティーのものが発売される事は、ほぼ間違いないと見ていいだろう。セイバーがヒットすれば他作品のキャラのシリーズも続々リリースされるだろうし、これは来年、デフォルキャラ商品に激震が走りそうだ。
今までコトブキヤは、版権キャラモノプラモデルとして漫画原作の『一撃殺虫! ホイホイさん』のホイホイさんシリーズ、カプコン制作のゲーム、ロックマンシリーズのロックマン、ロールなどのキット化を行ってきたが、どの製品も彩色済み、デフォルメフィギュアと見間違える完成度など、高い技術で人気を博している。特にシリーズの第一弾として09年9月に発売された“1/1 ホイホイさん”は店頭販売直後から売り切れる店舗が続出するなど、話題を読んだ。今度のセイバーにはこれ以上の影響力を期待してしまう。
ホビー業界の編集者やライターなのど話を聞くと、最近はフィギュア業界の勢いの良さを頻繁に耳にする。販売店向けの見本市にも、通常、可動、デフォルメ問わず、フィギュアの多さが目に付くそうだ。最近流行りの版権キャラの魅力を活かすにはフィギュアが一番合っているのであろう。しかし、この流れの中であえてプラモデルでの発売という動きは、新たな可能性を秘めている。まだ未彩色の参考品しか公開されていないが、製品版は作り易く、塗装不要のフルカラーキットで発売される予定なので、プラモデルが不慣れなファンにも馴染みやすい。セイバーを機に、続々キャラクターキットが発売されればキャラモノ商品の新しい発売方法として定着する日もそう遠くないかもしれない。版権モノ重視路線をいく最近の模型業界を象徴するような出来事だ。来年の模型業界の方向性も見えてきた感じだ。(斎藤雅道)