今年3月21日から、共犯の同社元幹部・工藤隆被告(50)の裁判員裁判が東京地裁で始まっているが、明らかになった事件の全貌はあまりに執拗だった。
西村らは、同社に勤務していた阿曽さんに無断で、会社を受取人とした保険契約を結び、“事故”に見せかけ殺害する計画を練った。その上で阿曽さんを連れ、南房総の温泉宿へ。“酒に酔わせて一緒に風呂に入り、浴槽に沈めて殺害する”はずだったのだが…。
「結果的に西村はそこで殺す事なく、『他の客が入ってきて出来なかった』とか、『そんなに酔ってなかった』とか言い訳をしていました」(工藤被告の証言)
この温泉宿には、結局2度も被害者を連れて行ったが、殺害には至らなかった。しかし、彼らは諦める事なく『東京湾フェリーで海に落とす』『金谷港の入り江から転落させる』『春日部温泉でお湯に沈める』『東京湾観音の内部展望台階段から突き落とす』などと次々に計画を立てた。
だが、いずれも実行に移す事ができず、数々の楽しげな“観光スポット”に阿曽さんを連れて行っただけで終わったという。ここで西村はさらなる計画を練り、工藤被告に持ちかけた。それは、ある芸能人の自殺をヒントにしたものだった。
工藤被告「『首吊りというと、天井から吊るすイメージがあるが、それだけじゃない。床に座ったままの首吊りもあるんだ』と、西村は言ってました」
検察官「芸能人の自殺の話をしてたんですか?」
工藤被告「はい」
検察官「それは、X-JAPANのhide?」
工藤被告「はい」
hideも、さぞ天国でびっくりしたことだろう。
こうして、“hide方式の殺害計画”が成功。工藤被告が第一発見者を装って千葉県警に通報し、まんまと自殺と判断され、司法解剖もされなかった。
では、なぜこの事件が発覚したのか。
「西村は、過去にも自分が死亡したと見せかけて死亡保険金を受け取っていたんです。それが発覚し、捜査が阿曽さんの事件にまで伸びたんです」(司法記者)
人間、欲をかくとボロが出るもんだ。