また、学校や自治会の旅行では、観光バスを貸し切ることも。いずれにしても、移動において「バス」は重宝する存在。その一方で、飛行機や新幹線と比較すると、危険度が高いのもまた事実だ。
そんな観光バスの「危険性」を世に知らしめ、それと同時に客の「機転」が命を救った事案が、2018年11月、三重県紀北町で発生した事案だ。紀勢自動車道を運転していた46歳の男性運転手が、突如気絶。バスは蛇行運転を始める。しかも、運転手はアクセルを踏んだままだった。
バスが大きく蛇行し乗客の命が危険にさらされる中、異変に気が付いた男性2人が運転席へ駆け付け、運転手を席から動かしハンドルを左に切ってバスを側壁に接触させ続けると、バスは停車した。乗客が冷静な対応をしたことと、この際偶然にも対向車が通っていなかったことが、乗員乗客の命を救った。
運転手の男性は車庫を出発する前の点呼でも特に異常はなかったとのこと。非常に可能性は低いが、運転手が誰でも起こり得る事態だけに、恐怖感を覚えるネットユーザーが続出することになった。
ちなみにこの日観光バスは「ミステリーツアー」で貸し切られ、乗客は目的地を知らされていなかった。この件にも驚きが広がり、「天国へ行くことにならなくてよかった」「本当のミステリーツアーになった」などの声が出た。
運転手は持病もなく、薬を飲んでいるようなこともなかったという。それでも、突然気を失ってしまう。飛行機や電車でも同じようなことが起こり得るだけに、「怖い」という声が相次いだ。
このような事態が起こらないよう、祈るしかない。
文 櫻井哲夫