競馬は筋書きのないドラマだがまさに、このことである。運も実力のうちと言ってしまえばそれまでだが、雪だるま式に運が重なったことも事実だった。
牝馬の場合、桜花賞→オークスが既定路線で厩舎サイドもそう考えていた。オーナーの一声で急きょNHKマイル挑戦が決まったとはいえ、陣営のムードはオリンピック精神に包まれていた。
「誰も勝てると思ってないから、レースはもう一頭のマイネルシーガル(後藤騎手、8着)ばっかり見ていましたよ」と、頭を掻く佐藤助手。「直線に入って周りから、外からもう一頭来ているぞと教えられるまで分かりませんでした」と、苦笑い。
「道悪馬場も味方しましたね。有力馬が前々で無し崩しに脚を使っていたのに対し、こっちは後ろからゆっくり進出。乗り役も上手に乗ってくれたけど、坂を上がって外に出してから、凄い脚を使ったのでビックリですよ」。メンバー最速の上がり34秒9は、ピンクカメオ一世一代の豪脚だった。
1/2馬身差の2着は1番人気のローレルゲレイロ(藤田騎手)。3着に18番人気のムラマサノヨートー(小林淳騎手)が入り、超ド級の万馬券につながったのだった。