4月の大阪大会で王座流出してから約半年。あの屈辱を晴らすべく、中邑は至宝奪還の舞台に立った。総合格闘技仕込みのサブミッションで武藤の左ヒジを集中砲火するなど序盤から圧倒。前回とは打って変わって主導権を握り、経験に勝る外敵王者を攻め立てた。
掟破りのドラゴンスクリューで王者をあざ笑うかのような攻撃を繰り出したかと思えば、得意の飛びつき腕十字。一気に試合を決めかけたが、ロープエスケープされてチャンスを逃すと、今度はネックスクリューを食らって形勢逆転を許す。
続けざまにシャイニングウィザード6発からムーンサルトプレスの必殺フルコースで絶体絶命。それでも前回と同じ轍は踏まなかった。この局面をカウント2.99で返すと、必殺ランドスライドで反撃。だが、最後に落とし穴が待っていた。
ダメ押しのランドスライドに移行したところを回避されるや、フランケンシュタイナーで丸め込まれてまさかの3カウントを献上。勝利を目前に不覚をとった中邑は試合後、「次はいつだ?武藤がギブアップするまでやり続ける」と早くも再戦を熱望。一方、V4を達成した武藤は戦前に中邑を「最強の挑戦者」としていただけに「次はどうするんだよ?」「もういないだろ!?」などとほくそ笑んだ。
最年少IWGPヘビー級王者となり、今年は世界最強の男カート・アングルとのIWGP王座統一戦を制した“ベルト問題請負人”のリベンジ失敗。前王者も退けられたことで、とうとう新日マットには次期挑戦者が「現時点ですぐには見当たらない」「1・4にはどうにかする」(新日フロント幹部)という事態に陥ってしまった。
ベルトが流出したまま年を越すことになってしまったセルリアンブルーのマット。果たして来年1・4東京ドーム大会のIWGP戦は、誰が武藤と対峙することになるのか、今後の展開に注目だ。